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舟を編む/三浦しをん -感想- 辞書は人と人を結びつける。言葉を大切にしたくなる。

読書感想です。今回は三浦しをんさんの「舟を編む」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:舟を編む
  • 作者 :三浦しをん
  • 出版社:光文社(光文社文庫)
  • 頁数 :352P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 楽しく軽やかに読める小説が読みたい
  • 物作りの仕事の良さを感じる小説が読みたい
  • 本屋大賞受賞、映画化、ドラマ化された有名作品を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!』

引用元:光文社

感想

辞書の編集が題材
とある出版社の辞書編集部が主な舞台で、そこに配属されている人物たちにより新たな国語辞書を作るという物語です。何十万語を収録する辞書がどのように作られているかなんて想像したこともありませんでした。一語一語内容を検討しているのでしょうか。また載せる言葉はどのように洗い出され、選別されるのでしょうか。考えてみると興味が湧いてきます。この小説ではあまり知ることのないその過程が、笑いあり涙ありの物語として描かれています。

親しみやすい雰囲気
辞書という題材や「舟を編む」というタイトルには少し固い印象がありますが、内容はまったく堅苦しい雰囲気ではありません。辞書が持つ意義、登場人物たちの辞書に対する熱意、言葉が持つ可能性など、中心となるテーマは胸熱な部分が多いです。そんな中でちょっとした恋愛要素だったり、個性的な登場人物たちの軽快な掛け合いなど楽しい要素もたくさんあります。辞書という未知の世界を親しみやすい形で知っていくことができ、自分も物作りに携わっているような気持ちになります。

魅力的な登場人物
登場人物の数があまり多くありません。一人一人にフォーカスする場面などもあり、読んでいるうちに個性的な人物たちに共感したり愛着が湧いてきます。辞書作りの過程に登場人物たちそれぞれが持つ思いが込められていく様子はグッときます。物作りっていいなと感じられる物語のように私は思いました。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

辞書への興味
辞書作りとは根気と忍耐が必要な仕事ですね。地味でありながら、言葉を通じて人と世界をつなぐ大切な仕事だと知りました。辞書というものが、ただの「言葉の集まり」ではなく、人間の知恵と歴史の結晶であることを実感しました。この物語を通して普段何気なく使っている言葉の裏側にある深い意味や背景に興味がわいて、辞書を手に取ってみたくなりました。

言葉が持つ可能性
物語を通して、言葉の重要性や、何気ない日常の中に隠された言葉の意味が再発見される瞬間が印象的でした。例えば、「へのひと」の件は笑える場面ではありつつも、「へ」が様々な用いられ方をしていることは言われてみれば確かになと感心しました。

人へ思いをうまく伝えることの難しさというのがいくつか描かれていましたが、人と人を繋ぐ上で言葉はとても重要です。自分の思いを忠実に再現したい、相手の思いを正確に受け取りたい。物事を言語化することはその仕方次第でその中の要素を失くすことも創ることもできます。言葉の可能性をなるべく発揮するために言葉のことをもっと知りたいと思いました。

物作りの魅力に感動
馬締だけでなく、編集部の仲間や彼の周囲の人々が、それぞれに葛藤しながらも、自分の仕事に誇りを持ち、全力を尽くしている姿に心を打たれました。言葉の選定や定義の一つ一つに込められた編集者たちの思いが、言葉を使う私たち読者に届けられる瞬間が、本当に感慨深いものでした。

松本先生の最後の手紙には目頭が熱くなりました。物作りの仕事の良い面を体感させてくれたように思います。

『あなたたちのおかげで、わたしの生はこのうえなく充実したものとなりました。感謝という言葉以上の言葉がないか、あの世があるならあの世で用例採集するつもりです。』

恋愛パートや日常パートがもっと見たくなった
この小説としてはほんの味付け程度の恋愛要素が良い塩梅だったように思いますが、登場人物たちに愛着がわいてそれぞれのパートナーとの日常や、関係が発展する過程をもっと見たいなという気持ちになりました。

 

特に馬締と香具矢の日常や2人やり取りしている様子がイマイチ想像できないです。特に馬締と香具矢の日常や2人やり取りしている様子がイマイチ想像できないので見てみたいです。あと西岡と麗美の関係もなんか生々しくて好きでした。自然体でいられる関係は素敵です。西岡はいいキャラですよね。『大渡海』への思い入れがちらちら見えたり、好感ポイント多数でした。

馬締と香具矢の出会いのシーンは神秘的でとても美しくて印象的でした。満月の下で出会った運命の女性、名前はかぐや、というのはやりすぎですがそれがイイ。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/舟を編む

まとめ

以上、三浦しをんさんの「舟を編む」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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