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今月読んだ本をまとめてご紹介【2025年5月】

今月読んだ本をまとめてご紹介します。

シリーズ物は基本的に除きます。(1作目だけは紹介します。)

おすすめ度のランク付けもしてみます(個人的な好みという意味合いが大きく、出来を評価するものではありません、というか私にはそんなことできません)。

選書のご参考になればうれしいです。

それではどうぞ。

1.告白/湊かなえ [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人の家族」「犯人」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。

引用元:双葉社


 
こよい
湊かなえさんのデビュー作でありながら、完成度が非常に高く、人間の心理に深く切り込んでいる点が本作の魅力です。自分の中の価値観も少しずつ揺さぶられるような、そんな一冊です。

感想記事:告白/湊かなえ <あらすじ・感想・考察> 「復讐」という行為がどこまで正当化されるのか

2.ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない──。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

引用元:新潮社


 
こよい
この物語は「逃亡劇」という言葉だけでは語りきれないと感じました。信じることの強さや、誰かの記憶に残ることの意味を考えさせてくれる一冊です。

感想記事:ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 <あらすじ・感想・考察> 圧倒的な存在に包囲される恐怖。どう切り抜ける?

3.東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン―/リリー・フランキー [3.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人──。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る──。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。

引用元:新潮社


 
こよい
難しい言葉や派手な展開はありません。しかし、その分リアルで、真っすぐで、心にまっすぐ届く物語です。できれば、親が元気なうちにこの本を読んで、そしてそのあとでほんの少しでも優しくなれたら。そんなふうに思わせてくれる一冊です。

感想記事:東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン―/リリー・フランキー <あらすじ・感想・考察>

4.鹿の王/上橋菜穂子 [3.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!? たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる――!

引用元:KADOKAWA


 
こよい

ファンタジーという枠の中で、命、絆、病、信念といったテーマを深く描いています。ボリュームのある作品ではありますが、重苦しくなく、アニメ映画化もされるような美しい世界を多くの人に体験してもらいたいです。

感想記事:鹿の王/上橋菜穂子 <あらすじ・感想・考察> ファンタジーという枠の中で描かれるリアルな命、絆、病、信念

5.流浪の月/凪良ゆう [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。

引用元:東京創元社


 
こよい
社会に理解されない関係や、簡単には言語化できない痛み。それらを無理に説明せず、淡々と描いているからこそ、読後にいろんな感情が静かに残り続ける。そんな余韻のある一冊です。

感想記事:流浪の月/凪良ゆう <あらすじ・感想・考察> 「善意」はときにとても残酷になる

6.Xの悲劇/エラリー・クイーン [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『ドルリー・レーン氏初登場! ミステリの古典が新訳で生まれ変わる。
結婚披露を終えたばかりの株式仲買人が満員電車の中で死亡。ポケットにはニコチンの塗られた無数の針が刺さったコルク玉が入っていた。元シェイクスピア俳優の名探偵レーンが事件に挑む。

引用元:KADOKAWA


 
こよい

昔の本ですが、今読んでも面白く、むしろこの時代だからこそ書けた“舞台劇のようなミステリ”って感じがします。クラシックな本格ミステリに触れたいなら、これは外せない一冊です。

感想記事:Xの悲劇/エラリー・クイーン <あらすじ・感想・考察> 「悲劇シリーズ」第1作。ここから始まる“論理と心理のせめぎ合い”

7.少年と犬/馳星周 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった――。

2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。
ある日、和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。
その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。
だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……

犬を愛するすべての人に捧げる涙の物語!

引用元:文藝春秋


 
こよい
読むほどに小さな希望が見えるような、静かで力強い読書体験を与えてくれる一冊です。

感想記事:少年と犬/馳星周 <あらすじ・感想・考察> 傷つき、悩み、惑う人びとに寄り添っていたのは、一匹の犬だった

8.十戒/夕木春央 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『殺人犯を見つけてはならない。それが、わたしたちに課された戒律だった。

浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。
“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

引用元:講談社


 
こよい
ミステリーと心理描写が絶妙に融合した作品であり、最後の最後まで引き込まれました。極限状態に置かれた人間の行動や心理を描くことで、私たち自身の価値観や倫理観を問い直すきっかけを与えてくれます。ミステリー好きは必読の一冊です。

感想記事:十戒/夕木春央 <あらすじ・感想・考察> ミステリーなのに「殺人犯を見つけてはならない」

9.海賊とよばれた男/百田尚樹 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『物語は、敗戦の日から始まる。
「ならん、ひとりの馘首もならん!」--異端の石油会社「国岡商店」を率いる国岡鐵造は、戦争でなにもかもを失い残ったのは借金のみ。そのうえ大手石油会社から排斥され売る油もない。しかし国岡商店は社員ひとりたりとも解雇せず、旧海軍の残油浚いなどで糊口をしのぎながら、逞しく再生していく。20世紀の産業を興し、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは--出光興産の創業者・出光佐三をモデルにしたノンフィクション・ノベル

引用元:講談社


 
こよい
今の時代、「働き方改革」や「自分らしく生きる」がよく言われますが、この物語は「誰かのために命を燃やす」ことの価値を真っ向から語ってきます。熱い物語が好きな人、実話ベースのビジネス小説が好きな人にはぜひ読んでほしい作品です。

感想記事:海賊とよばれた男/百田尚樹 <あらすじ・感想・考察> 実話ベースの壮大なビジネス小説

10.マチネの終わりに/平野啓一郎 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『たった三度出会った人が、誰よりも深く愛した人だった――
天才ギタリスト・蒔野聡史、国際ジャーナリスト・小峰洋子。
四十代という〝人生の暗い森〟を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に
芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死など、現代的テーマが重層的に描かれる。
最終ページを閉じるのが惜しい、至高の読書体験。
第2回渡辺淳一文学賞受賞作。

引用元:文藝春秋


 
こよい
“もしもあのとき”を抱えながらも、それでも生きていく。その苦さも温かさも詰まっていました。静かに心に残る作品です。

感想記事:マチネの終わりに/平野啓一郎 <あらすじ・感想・考察> 人生の“もしも”が胸に刺さる、大人の恋愛小説