「芥川賞、直木賞が発表されました」みたいなニュースってたまに見ますよね。
受賞した作品は世間から注目を浴びますが、その賞ってどういうものなの?ということをご存知でない方もいるのではないでしょうか。
今回は、TV等メディアで目にすることがある代表的な文学賞について、どういう賞なのかの概要と、歴代受賞作品(直近数回)を調べて簡潔に整理してみましたので、ご紹介したいと思います。
賞によって選ばれる作品の特徴があり、この賞にノミネートされる作品は自分の好みのものが多いな、といった発見もあるかもしれません。今後の本選びの参考にもしていただければと思います。
芥川龍之介賞
概要
日本文学振興会主催の純文学を対象とする新人賞です。新人作家による発表済みの短編・中編作品が選考対象となります。選考会は上半期(7月中旬)、下半期(1月中旬)の2回行われます。
歴代受賞作品
第170回(2023年下半期):九段理江「東京都同情塔」
第169回(2023年上半期):市川沙央「ハンチバック」
第168回(2022年下半期):井戸川射子「この世の喜びよ」、佐藤厚志「荒地の家族」
など
直木三十五賞
概要
日本文学振興会主催の大衆文学を対象とする文学賞です。芥川龍之介賞とは異なり、現在は中堅作家中心に選考されます。選考会は上半期(7月中旬)、下半期(1月中旬)の2回行われます。
歴代受賞作品
第170回(2023年下半期):河﨑秋子『ともぐい』、万城目学『八月の御所グラウンド』
第169回(2023年上半期):垣根涼介『極楽征夷大将軍』、永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』
など
本屋大賞
概要
NPO法人・本屋大賞実行委員会主催の文学賞です。「書店(オンライン書店含む)の書店員」の投票によってノミネート作品および受賞作が決定されます。選考は年1回単位でおこなわれ、選考期間は年度終わりの5か月間、大賞発表は次年度となる4月です。
歴代大賞受賞作品
第20回(2023年本屋大賞):凪良ゆう『汝、星のごとく』
第19回(2022年本屋大賞):逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』
第18回(2021年本屋大賞):町田 そのこ『52ヘルツのクジラたち』
三島由紀夫賞
概要
新潮社の新潮文芸振興会が主催する純文学を主とする文学賞です。選考の対象が小説のみではなく、評論、詩歌、戯曲も含まれることが特徴です。選考会は5月中旬頃。「文学の前途を拓く新鋭の作品」を選考すると謳っているように、特徴的な作品が選考される傾向があるようです。
歴代受賞作品
第36回(2023年):朝比奈秋『植物少女』
第35回(2022年):岡田利規『ブロッコリー・レボリューション』
など
山本周五郎賞
概要
新潮社の新潮文芸振興会が主催する大衆文学を主とする文学賞です。選考会は5月中旬頃。「すぐれて物語性を有する新しい文芸作品」を選考すると謳っているように、特徴的な作品が選考される傾向があるようです。
歴代受賞作品
第36回(2023年):永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』
第35回(2022年):砂原浩太朗『黛家の兄弟』
など
「このミステリーがすごい!」大賞
概要
2002年に宝島社、NEC、メモリーテックの3社が創設したミステリー小説の賞です。ミステリーとしての要素や冒険小説的興味を多分に含んだ作品であれば設定は問わない、という幅広さが特徴です。選考は年1回単位でおこなわれ、大賞発表は10月です。
歴代大賞受賞作品
第22回(2024年):白川尚史『ファラオの密室』
第21回(2023年):小西マサテル『名探偵のままでいて』
第20回(2022年):南原詠『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』
など
まとめ
例えば、本屋大賞であれば、選定方法の特性から世間から注目され手に取られやすいものが多いように思います。その他もそれぞれの特色のある本がノミネート、受賞しているように見えますね。
ご紹介した文学賞は全体のごく一部で、まだまだ多くの文学賞があります。「このミステリーがすごい!」大賞のようなジャンル特化の賞も他にもあったり各賞の特色がありますので、”この賞のノミネート作品は自分の好みに合う”というものが見つかれば今後の本探しの参考になったり、今後のノミネート・受賞作品発表が楽しみになるかもしれません。
今回紹介した一部作品の読書感想や参考になるかもしれない記事もありますので、良ければそちらもご覧ください。
【読書感想】【小説】東京都同情塔/九段理江 ☆第170回芥川賞受賞作
【読書感想】【小説】八月の御所グラウンド/万城目学 ☆第170回 直木賞受賞作
【雑学と考察】小説の「純文学」と「大衆文学」の違い
ここまでお読みいただきありがとうございました。