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夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦 -感想- 可笑しな青春恋愛ファンタジー

読書感想です。今回は森見登美彦さん「夜は短し歩けよ乙女」です。
第20回山本周五郎賞受賞作品、第137回直木賞候補、2007年本屋大賞第2位と言わずと知れた名作です。何度読んでも面白い森見登美彦さんワールドの代表作です。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:夜は短し歩けよ乙女
  • 作者 :森見登美彦
  • 出版社:KADOKAWA(角川文庫)
  • 頁数 :336P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 明るく楽しく笑える作品を読みたい
  • 奇想天外な物語を読みたい
  • 純粋な黒髪の乙女を見てみたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
1
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3
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5
読み応え
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5
過激表現
1
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3
4
5

あらすじ

『黒髪の乙女にひそかに想いを寄せる先輩は、京都のいたるところで彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受ける珍事件の数々、そして運命の大転回。』引用元:KADOKAWA

感想

ポップでレトロな青春恋愛ファンタジーです。
京都が舞台であることと特徴的な語り口からレトロな雰囲気を感じます。現代らしいツールなど時代を感じさせる物事が登場せず、雰囲気を損なわなずにすっと世界観に入っていられます。難しい表現が度々出てきますがそれも雰囲気作りの一端を担っているように思います。私は知らない言葉は調べながら読みました。こういうとき電子書籍だとパッと調べられて便利です。

主人公は男子大学生とその後輩の黒髪の乙女。2人が交互に語り手になって物語が進んでいきます。それぞれ個性的な内面を持っていてその視点が面白いのと、同じ場面にいながら思っていることが異なりすれ違う様子が見られる面白い構成でした。黒髪の乙女はちょっと非現実的な存在ですが純粋極まる彼女に私は惹かれました。

大きく4章に分かれており、例えばその一つは学園祭での一幕といったような物語が展開されます。どの章も奇想天外なお話です。ずっとニヤニヤしながら読んでしまいます。終始ふざけてるのですがどこか知性を感じます。登場人物たちも皆個性的で魅力的。どうしてそんな面白い返しが思いつくのかとかその行動の発想に感心してしまいます。その構成も相まって映像が目に浮かびアニメを見ているような感覚になります。と思ったら本当にアニメ映画化されていたのですね。

またその4章とも前向きに終わるので気持ちよく読み進められます。恋愛要素は少なめなものの2人の関係も気になる形で進んでいくので、飽きずに最後まで読むことができます。

以下、内容に触れながら感想を記載します。開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

先輩と黒髪の乙女の関係に各章で少しずつ進展が見える、その恋愛要素がちょうど良いときめき感でした。先輩は肝心なところは奥手ですが外堀を埋めることには積極的なので焦ったさを感じないテンポの良さがありました。先輩は道中めちゃくちゃな出来事に巻き込まれているわけですが、黒髪の乙女側から見るとただ優しい良い男に見えるのが不思議なものです。

印象的な言い回しがたくさんありました。

外堀埋めすぎだろ?いつまで埋める気だ。林檎の木を植えて、小屋でも建てて住むつもりか?
永久外堀埋め立て機関
諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。
許せ友よ。彼女がすべてに優先するのだ。

外堀を埋め続けていることが表現に出てくる度に笑ってしまいました。でも先輩の気持ちもなんとなくわかります。「外堀を埋めていた頃が懐かしい。あの栄光の日々に戻りたい。」、あの頃のそういう回りくどさになんとも言えない魅力があったのかもしれません。青春を感じます。

私が特に好きだった章は第三章「御都合主義者かく語りき」です。
どの章も終盤に向けて散らかった要素が絡み合っていく伏線回収みたいな進み方をしますが、第三章は特にこのタイトルをテーマとして出来事が終盤に向けて収束していく疾走感が爽快でした。パンツ総番長が意中の女性と再会できるのも何故か感動的。

 
こよい
『パンツ総番長』の語呂の良さよ。

黒髪の乙女は相変わらず純粋に破天荒で背中に緋鯉、右手にプラカード、首の周りには達磨の首飾り、想像すると混沌としていて笑えます。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/植物図鑑

まとめ

以上、森見登美彦さん「夜は短し歩けよ乙女」の読書感想でした。
(2024/2現在)Kindle Unlimitedの読み放題対象になっていますので気になった方はそちらから読んでみてはいかがでしょうか。

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未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。