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死刑にいたる病/櫛木理宇 <あらすじ・感想・考察> カリスマ的な連続殺人犯に惹かれ…やがて…

あらすじ・読書感想・考察を記します。今回は櫛木理宇さんの「死刑にいたる病」です。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:死刑にいたる病
  • 作者 :櫛木理宇
  • 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫JA)
  • 頁数 :368P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 心理サスペンスやミステリーが好き
  • シリアルキラーものに興味がある
  • 重厚なテーマの作品を読みたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也(かけいまさや)に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和(はいむらやまと)からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」地域で人気のあるパン屋の元店主にして、自分のよき理解者であった大和に頼まれ、事件の再調査を始めた雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていき……一つ一つの選択が明らかにしていく残酷な真実とは。

引用元:早川書房

感想

連続殺人犯との駆け引き

連続殺人犯と大学生の心理的な駆け引きを描いたサスペンス作品です。

主人公の大学生・筧井雅也は、かつて地元でパン屋を営んでいた連続殺人犯・榛村大和から「最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」という手紙を受け取ります。

雅也は、榛村の無実を証明するために独自の調査を始めますが、その過程で次第に榛村の魅力に引き込まれていきます。

榛村大和というキャラクターは、実在のシリアルキラーを思わせる魅力と不気味さを兼ね備えています。

知的で人を惹きつける犯罪者のキャラが好きな人には刺さる作品かと思います。

巧妙な構成

本作の魅力の一つは、ミステリーとしての巧妙な構成です。

物語が進むにつれて、事件の真相や登場人物の過去が少しずつ明らかになり、興味を引き続けます。

終盤では、これまでの伏線が一気に回収され、驚きの展開が待ち受けています。

リアリティを与える要素

また、実在の凄惨な殺人事件が引用されており、物語に深いリアリティを与えています。

これにより、人間の暴力性や残酷さに対する恐怖を強く感じさせられます。

読むのが辛くなる描写もありますが、それが作品の重厚さを増しています。

環境が人格を形成するのか

殺人犯の心理だけでなく、家庭環境や社会との関わりがどのように人格形成に影響を与えるのかが描かれており、一つの大きなテーマになっています。

榛村の過去を辿ることで、彼がどのようにして現在の人格に至ったのか、そしてそれが家族関係にどのように影響されたのかが浮き彫りになります。

また、雅也もまた自身の環境に悩みを抱えており、榛村との関わりにより、彼に変化が起こっていきます。

ミステリーとしての面白さだけでなく、登場人物の心理戦や深層心理に焦点を当てた、心理サスペンスとしても楽しめます。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

全てが榛村の支配の中に

初めから全て榛村の思惑の中にあったという恐怖な全貌でした。

雅也は一応「榛村の支配から抜け出した」ように見えますが。しかし、最後の最後で灯里が榛村と関わっていたことが明かされることで、「本当に雅也は榛村の呪縛から逃れられたのか?」という疑念が残りました。

榛村の影響は、単に直接的な支配だけじゃなくて、心理的な支配や、人を通じての間接的な影響も含まれているのが怖いところです。

雅也自身、自分が榛村に惹かれていたことを自覚しているし、灯里との関係が今後どうなるのかを考えると、「もしかしてまだ榛村の手のひらの上なんじゃ…?」って不安になります。

この余韻の残し方が、本作を単なるサスペンスではなく、読後にじわじわ効いてくるホラーのように感じさせるように思います。

ラストで完全に解決しないからこそ、頭の中にずっと引っかかるものが残るし、そういう「後を引く怖さ」がこの作品の魅力のひとつです。

簡単に解説

物語のメインとしての謎は榛村が冤罪だと言う事件の真相ですね。それを探る過程で色々な謎が次々と浮かび上がり、最後に一気に回収されました。

ーーー

榛村は過酷な幼少期を過ごし、今回の死刑判決を受ける案件以前にもおぞましい事件を起こして少年院に入っていたことが判明します。

榛村から渡された資料の中から、雅也は自分の母親の写真を見つけます。雅也の母親と榛村は同じ人権活動家に養子として引き取られた過去がありました。

雅也は自分の父親が榛村であることが示唆されていると考えます。

それと同時に、異常な小児性愛への衝動が生じるなど、雅也は目に見えて榛村の影響を受け始めます。

冤罪の事件の真犯人と思われる金山一輝から「事件から手をひけ」という警告が届きます。

金山と対峙する前に、雅也は自分の父親が榛村であるかと母に電話で尋ねますが、結果、父親は榛村ではありませんでした。

金山と対面し、冤罪事件については榛村が犯人だとわかります。また、榛村から手紙をもらったのは雅也だけではなく、榛村の獲物に向けて何十人にも手紙を書いていました。

全てが嘘だったことがわかり、雅也の洗脳は解けます。

雅也は拘置所で榛村と最後の面会をし、拘置所から出た雅也を、幼馴染であり同じ大学生の加納灯里が待っていた。二人は最近恋人同士になったばかり。

しかし榛村の収監中の文通リストの上位には加納灯里の名も記載されていました。

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他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/死刑にいたる病

まとめ

以上、櫛木理宇さんの「死刑にいたる病」の読書感想でした。

単なるエンタメ作品ではなく、「犯罪者を生み出す社会」や「負の連鎖」といった重いテーマが含まれています。考えさせられる小説が好きな人や、読後に誰かと議論したくなるような作品を求めている人におすすめです。

逆に、グロテスクな描写や心理的に重い話が苦手な人には少しきついかもしれません。でも、それを乗り越えられれば、深みのある読書体験ができる作品です。

未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。