読書感想です。今回は朝井リョウさんの「正欲」です。
映画化もされた小説です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:正欲
- 作者 :朝井リョウ
- 出版社:新潮社(新潮文庫)
- 頁数 :528P
- 書影出典:朝井リョウ『正欲』(新潮文庫刊)
こんな人におすすめ
- 考えさせられるような内容の小説を読みたい
- 直木賞作家の代表作を読みたい
- 映画の原作を読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。』
引用元:新潮社
感想
難しいテーマだが嫌味がない
「多様性」がテーマとなっています。道を逸れずに進めることが正しいのか、その道が正しいとはどうして言えるのか、「普通」とはなにか、「正しさ」とはなにか。多くの人が見て見ぬフリをしていたかもしれないような面に触れていくような物語です。意見を示すような押しつけがましい嫌味は全くなく、あくまで「多様性」の様々な一面を描く物語として面白く読むことができます。
様々な価値観が交差する
そのテーマを表す個性的な登場人物たちのそれぞれの物語がいくつか並行して進んでいきます。個々で成り立つ物語でありつつ、何なのかな?という伏線のような描写などもあり、それらが後半にハッとさせられるような形で結び付く。自分が持つ無意識に偏った目線に気付かされるような、作品のテーマを強く印象付けるような面白い物語の構成でした。
現代的リアリティ
現代的な話題や表現が使われているので、リアリティのある物語に感じられます。自分はこう思うというのが具体的にイメージされ、登場人物たちの言葉が自分の価値観に対して向けられているようにさえ感じる箇所もあるように思います。ただ、物語で扱う価値観が特殊であるが故に、嫌な生々しさを感じない絶妙なバランスを保っているようにも感じます。
知ることに意味はある
ネット上などでは「多様性」についての意見を目にすることが多くあります。自分が「普通」であると思っていると、それらにじっくり向き合う機会は少ないかもしれません。この小説にも「多様性」へのいくつかの考え方が描かれていますが、その中には自分を「普通」だと思っている人への問い掛けもあったように思います。難しい問題でありどうすれば良いという答えはありませんが、自分なりの考えを持っておくことは大切かもしれません。この小説はそんなことを考えるきっかけにもなります。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
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感想(ネタバレ有り)
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※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、朝井リョウさんの「正欲」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。