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R帝国/中村文則 -感想- 近い未来?それとも現在?単なるSFとは思えないディストピア。

読書感想です。今回は中村文則さんの「R帝国」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:R帝国
  • 作者 :中村文則
  • 出版社:中央公論新社(中公文庫)
  • 頁数 :368P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 社会風刺の効いたディストピア小説が読みたい
  • 暗い雰囲気の小説が読みたい
  • ワクワクするSF要素のある小説が読みたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『国家を支配する”党”と、謎の組織「L」が存在するR帝国。戦争が始まり、やがて世界は思わぬ方向へと暴走していく。世界の真実を炙り出す驚愕の物語。』

引用元:中央公論新社

感想

ディストピア小説
この物語は、R帝国という全体主義国家を舞台にし、その中で生きる人々の苦悩や葛藤を描いています。監視社会や人間の自由について深く考えさせられる作品です。

社会風刺
R帝国では情報は徹底的に管理され、国民は政府の監視の目から逃れることができません。恐怖と不安が支配する日常は、現代社会におけるプライバシーの問題や権力の乱用への警鐘のように感じられます。

 
こよい
現実でもそれに近いことが行われているのでは…

私たちの身の回りにも存在する「見えない支配」や「同調圧力」に対する考察を促されました。この物語を読み終えた後、自分は自由な存在なのか、無意識のうちに何かに縛られていないかと不安になります。

SF要素
重厚なテーマを扱う物語ですが、その中に近未来的な技術が描かれることが特徴的です。AIの発展やスマートフォンの上位的な機器、国全体が管理される仕組みや高度な軍事技術など、近い将来実現しそうに感じるようなものが描かれます。現実的な未来を映しているようで、物語が自分の身に迫るもののように感じられます。

 
こよい
AIとの対話はちょっと楽しそうでワクワクしました

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

救いがない清々しさ
矢崎は記憶を失わなかったものの抵抗できない状態になり、栗原はテロで命を落とす。R帝国に反発した主役たちが皆潰されるという徹底された救いのなさ、権力の圧倒的な力は清々しくさえありました。

 
こよい
現実にもそんな感じに見える国もあったりしますよね

国のためとして見れば国民の犠牲も合理的、非情な演出であってもそれを知る由もない一般国民からしたらそれは救いがないと言えるのかすらよくわからなくなりました。今の自分もそのような目に見えない何かにコントロールされているかもしれないという恐怖を感じると共に、何も知らないでいられるならそれでもいいとも思えます。

様々な風刺、近未来技術
色々な風刺要素が盛り込まれていました。私が印象的だったのはAIの発展です。自分の人格に合わせてくれるAIがいて、リアルタイムで対話できるというのは楽しそうですね。AIに感覚を与えるというような件もありましたが、AIがどんどん人間に近付くにつれてどうAIと付き合っていくのかということの課題が描かれていたように思います。HPという形だとまだ作り物であるという認識が拭えなさそうに感じました。

盛り沢山
様々な風刺を交えつつ物語も進んでいく形でかなりぎゅうぎゅうに詰め込まれている印象はありました。風刺の要素がかなり前面に出てきていて、物語はおまけくらいの感覚でした。物語を楽しむというより、こういう世界観や思考にどっぷり浸かることを楽しむ小説だったように思います。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/R帝国

まとめ

以上、中村文則さんの「R帝国」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。