読書感想です。今回は井上夢人さんの「プラスティック」です。
2024年本屋大賞発掘部門「超発掘本!」に選出された作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:プラスティック
- 作者 :井上夢人
- 出版社:講談社(講談社文庫)
- 頁数 :400P
こんな人におすすめ
緻密な構成のミステリーが好き
伏線が巧妙に張られていて、ラストで「そういうことか!」と驚かされるような展開が好きな人にはたまらない一冊です。多視点・変則的な語りにワクワクする
日記、手紙、レポートなど複数の形式で物語が進むので、物語を“読み解く”楽しさが味わえます。現実と虚構の境界が揺らぐような作品に惹かれる
『自分って何?』『現実って何?』といった哲学的なテーマが好きな人にはグッと刺さると思います。
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『54個の文書ファイルが収められたフロッピイがある。冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる! 謎が謎を呼ぶ深遠な井上ワールドが展開するサスペンスミステリー』
引用元:講談社
感想
不穏な空気
本作は、出張中の夫を待つ主婦・向井洵子が書き始めた日記から物語が展開します。
日常の些細な出来事を綴る中で、洵子は自分の名前で図書館に登録されていたり、借りた覚えのない本が自宅にあったりと、奇妙な出来事に遭遇します。序盤から不穏な雰囲気に包まれています。
多視点で構成
物語は、洵子の日記を含む複数の視点から構成されており、それぞれの語り手の視点が交錯しながら進行します。
この多視点の構成が、読者に対して現実と虚構の境界を曖昧にし、物語の深みを増しています。
ボリューム感、読みやすさ
ページ数は400ページ程度で中〜やや多めです。
派手な比喩や難解な言葉はあまりなく、文体はスッキリしており読みやすいです。
多視点の構成という特性、またミステリーとしての物語の複雑さによって、誰が何でどうだっけと迷うこともあるかもしれません。
ただ、序盤〜中盤で感じた違和感が終盤で解消される構造なので、辛抱強く読めば必ず楽しめます。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、井上夢人さんの「プラスティック」の読書感想でした。
単なるミステリー小説にとどまらず、人間のアイデンティティや現実の脆さについて深く考えさせられる作品でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。