読書感想です。今回は中村文則さんの「去年の冬、きみと別れ」です。
ミステリー小説で、映画化もされている作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:去年の冬、きみと別れ
- 作者 :中村文則
- 出版社:幻冬舎(幻冬舎文庫)
- 頁数 :196P
こんな人におすすめ
- ミステリー小説が好き
- 人間の暗い内面が見える作品が好き
- 短めでさらっと読める小説が読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『愛を貫くには、こうするしかなかったのか?
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。調べを進めるほど、事件の異様さにのみ込まれていく「僕」。そもそも、彼はなぜ事件を起こしたのか? それは本当に殺人だったのか? 何かを隠し続ける被告、男の人生を破滅に導いてしまう被告の姉、大切な誰かを失くした人たちが群がる人形師。それぞれの狂気が暴走し、真相は迷宮入りするかに思われた。だが――。』
引用元:幻冬舎
感想
純文学的ミステリー
あまり前評判やあらすじを見ずに中村文則さんの作品とだけ知って読んだため途中まで純文学寄りな小説と思い込んでいましたが、しっかり謎が解き明かされていって、あ、ちゃんとしたミステリーだった、と気付きました。一方で途中まで純文学と思わせるような人の内面や行動の生々しい描かれ方も兼ね備えています。あまり経験のない読書体験です。
静かに迫る
名探偵が軽快に答えへ導いてくれるわけでも、名犯人が爽快に犯行を成し遂げるわけでもありません。静かに事件の真相に迫っていきます。しかし淡々としているわけではありません。どことなく感じる違和感がどんどんと積み上がっていき、気付くとしっかりミステリーの中に引きずり込まれていました。
狂気
登場人物たちの狂気に触れることもこの小説ならではの体験です。私は自分の中にもあるとか共感できるということはありませんでしたが、良くも悪くもそういう思考もあり得るのかと視野が広がる感覚があります。色々な考え方を吸収できるのが小説のいいところの一つだと私は思っていますが、そういう意味で新たな視点を与えてくれるような独特な思考が多く含まれていたように思います。
驚愕の真相
文学的な描写に気を取られがちですがしっかり仕掛けが潜んでおり、驚きの真相が待っていました。トリックが明かされてすっきりしつつも、迎えた結末にはどうあるべきなのか考えさせられてしまうような複雑な気持ちを持ちました。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
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感想(ネタバレ有り)
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まとめ
以上、中村文則さんの「去年の冬、きみと別れ」の読書感想でした。
ミステリーとして独特な個性を持っていて私は非常に好みの作品でした。未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。