読書感想です。今回は呉勝浩さんの「爆弾」です。
『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)、『ミステリが読みたい! 2023年版』(ハヤカワミステリマガジン2023年1月号)国内篇2冠、第167回直木賞候補作となるなど多くの評価を受けている作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:爆弾
- 作者 :呉勝浩
- 出版社:講談社(講談社文庫)
- 頁数 :500P
こんな人におすすめ
- ミステリー小説が好き
- 魅力的な悪役のいる小説が読みたい
- 多くの評価を受けている小説が読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。
たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。
直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。
「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。
警察は爆発を止めることができるのか。
爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。』
引用元:講談社BOOK倶楽部
感想
爆破予告の犯人を追う
緊迫感あふれるミステリーと社会的テーマを巧みに織り交ぜた作品です。この物語は、爆破予告の犯人を追う警察の視点と、事件の核心に迫る心理描写が絡み合い、息もつかせぬ展開に引き込んでいきます。
謎の人物の魅力
物語の中心には、爆破犯人と思われる謎の人物がいますが、彼の行動や動機は一筋縄では理解できません。彼がただの破壊を目的としているのか、それとも社会に対するメッセージを込めているのか、その真相に迫ろうとしていきます。巧みに言葉や人の心を操るその人物に魅力を感じてしまいます。
人間の心理や行動原理に迫る
警察官たちの葛藤や、捜査の裏側に潜む人間模様が印象的です。また、この作品は単なるサスペンスではなく、人間の心理や行動原理を深く掘り下げています。
登場人物たちはみな何かしらの過去や矛盾を抱えており、それが事件にどう影響するのかが物語をより重層的にしています。例えば、犯人像を追い求める過程で、私たち自身の中に潜む「善」と「悪」の曖昧さを考えさせられます。
緻密な構成とリアルな心理描写で、エンターテインメントとしても読み応えがありつつ、深い思索へと誘う物語です。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。