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謎解きはディナーのあとで/東川篤哉 <あらすじ・感想・考察> ユーモア×ミステリー、毒舌執事が事件を解く

読書感想です。今回は東川篤哉さんの「謎解きはディナーのあとで」です。

2011年(第8回)本屋大賞受賞作品です。ドラマ化などもされている有名作品ですね。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:謎解きはディナーのあとで
  • 作者 :東川篤哉
  • 出版社:小学館(小学館文庫)
  • 頁数 :352P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 本格ミステリーは好きだけど、気軽に読みたい

  • ドラマ版や映画版が気になっている

  • ミステリー初心者や普段あまり小説を読まない

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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5
読み応え
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5
過激表現
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3
4
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あらすじ

令嬢刑事×毒舌執事コンビの傑作ミステリ
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。
『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。
大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は”執事兼運転手”の影山。
「お嬢様の目は節穴でございますか?」
暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに謎を解き明かしていく――

引用元:小学館

感想

ユーモアミステリー

2011年の本屋大賞を受賞したユーモアミステリーです。​

本作は全6編からなる短編集で、各話で殺人事件が発生し、主人公の新米刑事・宝生麗子が捜査に挑みます。

​しかし、彼女は世界的企業「宝生グループ」の令嬢であり、その身分を隠して刑事として働いています。​

事件解決の糸口を見つけられない麗子は、執事兼運転手の影山に相談します。​

影山は麗子を皮肉りつつも、鮮やかな推理で事件の謎を解き明かしていきます。​

コミカルな掛け合い

本作の魅力は、麗子と影山の軽妙な掛け合いにあります。

影山の毒舌と麗子の反応がコミカルで、読者を引き込みます。

​また、各話のタイトルも洒落が効いており、事件の鍵となる要素を巧みに表現しています。​

例えば、「殺人現場では靴をお脱ぎください」や「殺しのワインはいかがでしょう」など、タイトルからも興味をそそられます。​

テンポが良い

物語の構成が各話で似通っているため、展開が予測しやすいとの意見もあるかもしれません。​

しかし、短編で読みやすく、テンポの良いストーリー展開は、心地よいものとなっています。

​全体として、気軽に楽しめるミステリー作品としておすすめです。


以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意
 
こよい
どういうところが評価されて本屋大賞受賞したのかな?
 
ロボ
本屋大賞を受賞した理由として、以下の点が評価されたと考えられるよ。

1. エンタメ性の高さ
ミステリーでありながら、軽快な会話劇が楽しめる点が読者にウケた。執事・影山の毒舌と、お嬢様刑事・麗子のやりとりが絶妙で、ミステリー初心者でも気軽に読める作品になっている。

2. 幅広い層に受け入れられる読みやすさ
1話完結の短編集であり、トリックもシンプルなので、普段あまり本を読まない人でも楽しめる。テンポが良く、サクサク読める構成も評価ポイント。

3. 「本屋大賞」に合った作品の特徴
本屋大賞は、書店員が「お客さんにおすすめしたい本」を投票で決める賞だから、「多くの人に売りやすい本」が選ばれやすい。『謎解きはディナーのあとで』は、ミステリーとしての面白さだけでなく、キャラクターの魅力や会話の楽しさが万人受けする要素になっていた。

4. ドラマ化しやすいストーリー性
受賞後すぐにドラマ化されるほど、映像映えする構成になっていた点もポイント。書店員が「この本は売れる!」と確信できる要素が多かったからこそ、多くの支持を集めたと考えられる。

つまり、ミステリーとしての面白さだけじゃなく、「読みやすくておすすめしやすい」「エンタメ要素が強くて幅広い層にウケる」点が、本屋大賞の評価につながったんだろうね!

 
こよい
なるほどね。かなりライトな印象で、最近の本屋大賞のラインナップから見たら何でこの作品が?って思っちゃったな。
 
ロボ
確かに、最近の本屋大賞は『同志少女よ、敵を撃て』や『汝、星のごとく』みたいに、テーマ性が強くて文学的な作品が多いから、『謎解きはディナーのあとで』が受賞したのはちょっと異色に見えるよね。

ただ、本屋大賞は「書店員が売りたい本を選ぶ賞」だから、その年ごとの流行や読者のニーズによって傾向が変わることもあるんだよね。2011年当時は、重厚な文学作品というより、気軽に読めるエンタメ系ミステリーが広く求められていたのかも。実際、ドラマ化や続編も人気だったし、「売れる本」という意味ではピッタリだったんだと思う。

今のラインナップと比べると異色だけど、「本屋大賞の流れを作るきっかけになった作品の一つ」として見ると面白いかもね!

 
こよい
対象に選ばれた作品から時代背景が感じられるのは面白いね。

本格ミステリなのかもしれないけど、推理がなんとなくふわっとしているように感じられたのは気のせいかな?ほんとにその筋しかないの?って思うこともあったな。

 
ロボ
わかる!確かに『謎解きはディナーのあとで』の推理って、論理的にガチガチに組み立てられた本格ミステリーというより、「影山がスパッと見抜いて、はい解決!」って感じが強いよね。

特に、影山の推理が「他の可能性を完全に排除した上での結論」というより、「こういう風に考えれば犯人はこの人ですよね?」っていう雰囲気で進むことが多くて、「本当にその筋しかないの?」って思うのは自然な感想だと思う。

本格ミステリーって、「なぜその結論しかありえないのか」を論理的に詰めていくものが多いけど、本作はそこまで厳密じゃなくて、どちらかというと「ユーモア+おしゃれな推理劇」を楽しむ方向に寄せてる感じ。だから、ふわっとした印象を受けるのも無理はないと思うよ。

「本格ミステリー」と言うには少し緩めだけど、「ライトな推理劇を楽しむ作品」と考えれば、そこが逆に魅力になってるのかもね!

 
こよい
そうだよね。短編集になってるのもミステリとしてはやっぱりライトな印象になるし、そういう方向に寄せてるんだね。
 
ロボ
そうそう!短編集って、それぞれの話に時間をかけて伏線を張ったり、複雑なトリックを組み立てたりするのが難しいから、どうしても推理の深みよりテンポの良さが重視されるんだよね。

事件の展開よりも「影山の毒舌」と「麗子の反応」みたいな掛け合いがメインになってるから、ミステリーとしてガチガチに考えると物足りなく感じる部分があるのかも。でも、それは意図的なもので、あくまで「ライトに楽しむエンタメミステリー」っていう方向性に振り切ってるんだろうね。

だからこそ、普段ミステリーを読まない人でも手に取りやすくて、本屋大賞でも幅広い支持を集めたんじゃないかな。深く考えずに楽しむのが正解の作品なのかも!

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/謎解きはディナーのあとで

まとめ

以上、東川篤哉さんの「謎解きはディナーのあとで」の読書感想でした。

未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。