読書感想です。今回は瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」です。
2024年に映画化もされている作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:夜明けのすべて
- 作者 :瀬尾まいこ
- 出版社:水鈴社(文春文庫)
- 頁数 :272P
こんな人におすすめ
- 人生に疲れを感じている
- 自分の生き方に迷っている
- 心に寄り添う物語を求めている
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『知ってる? 夜明けの直前が、一番暗いって。
職場の人たちの理解に助けられながらも、月に一度のPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられない美紗は、やる気がないように見える、転職してきたばかりの山添君に当たってしまう。
山添君は、パニック障害になり、生きがいも気力も失っていた。
互いに友情も恋も感じてないけれど、おせっかい者同士の二人は、自分の病気は治せなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる――。
人生は思っていたより厳しいけれど、救いだってそこら中にある。暗闇に光が差し込む、温かな物語。』
引用元:水鈴社
感想
心の病を抱える主人公たちが希望を見出す
物語の中心となる藤沢と山添の二人は、それぞれ異なる心の病を抱えています。
人生に行き詰まりを感じながら日々を過ごす中、二人の主人公が、とあるきっかけで関わりを持つようになります。
その過程で自分自身を見つめ直し、希望を見出していきます。
日常の中に潜む小さな希望や、他者とのつながりの大切さを知っていく姿が描かれています。
夜明けという象徴的なタイトルが示すように、読者に勇気を与えてくれるような物語です。
丁寧な心情描写
登場人物たちの心情描写が丁寧で、彼らの悩みや葛藤に共感せずにはいられません。
また、軽快で柔らかな文章によって、重たいテーマでありながら穏やかな雰囲気を作り上げていており、そのバランスが絶妙です。
例えば、日常のちょっとした出来事や会話の中にも、人間らしい温かさや希望がにじみ出ており、読んでいて心がほぐれる瞬間が何度もありました。
登場人物の温かさ
物語に出てくる人物たちに一切嫌みがなく、ほっこりするようなやり取りを見て温かい気持ちになれます。
特に、藤沢と山添の二人のやり取りは印象的で、それぞれの形で人を思いやる姿が素敵で、またお互いの事情を知ったが故の明け透けな物言いや行動もくすっと笑えます。
この人たちのお話をもっと見ていたいという気持ちになりました。
心が沈んだときに読み返したい
どんなに暗い状況でも、必ず光が差し込む瞬間が訪れる。
そのためには、自分自身を信じ、周囲の人々とつながる勇気を持つことが大切なのかなと思いました。
瀬尾まいこさんの作品はいつも優しい気持ちになれるものが多い印象です。
今作もまた、困難な状況にあっても前向きにさせてくれるような希望を感じました。
心が沈んだ時にはまた読み返したい一冊です。
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、瀬尾まいこさんの「夜明けのすべて」の読書感想でした。
日常に疲れた心を優しく包み込み、新しい一歩を踏み出す力をくれる物語です。暗闇の中にいるように感じている人や、人生を見つめ直したいと考えている人に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。