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愚者のエンドロール/米澤穂信 -感想- 古典部シリーズ第2弾。未完成映画の謎を追う。

読書感想です。今回は米澤穂信さんの「愚者のエンドロール」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:愚者のエンドロール
  • 作者 :米澤穂信
  • 出版社:KADOKAWA(角川文庫)
  • 頁数 :256P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 『氷菓』が好き
  • ミステリー小説が好き
  • アニメ化等されている人気作品を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『古典部のメンバーが先輩から見せられた自主制作のビデオ映画は、廃屋の密室で起きたショッキングな殺人シーンで途切れていた。
犯人は? その方法は? 結末探しに乗り出したメンバーが辿り着いた、映像に隠された真意とは――。』

引用元:KADOKAWA

感想

古典部シリーズ第2弾
前作『氷菓』の後の物語です。登場人物は前作から引き続き古典部のメンバー。文化祭を間近に控えた古典部に対して先輩クラスから、文化祭の出し物である未完成映画に関する謎が持ち掛けられます。物語はその真相を解き明かす過程を中心に進行します。

学生たちによる創作映画を題材にしたというところが面白い視点で、謎解きの過程が特徴的です。

軽くてほろ苦い
ページ数は多くなく『氷菓』と同等。さらっと読めて、また内容としても深刻になりすぎず、ミステリー小説ではありますが、気張らずに読むことが出来ます。『氷菓』はいくつかの謎解きがありましたが、本作は全編通して一つの謎を扱っていきます。

『氷菓』はほろ苦い読後感でした。本作はまた少し違った形で印象的な結末が待っています。

青春ミステリー
登場人物たちがそれぞれ抱える葛藤や成長が、ミステリーの解決と並行して描かれています。折木の内面の変化、千反田の情熱、福部里志と伊原摩耶花の関係性などが、繊細に描かれます。単なる謎解きミステリーを超えて、より深い人間ドラマを描くものとなっています。

変わらずの「痛さ」
前作もそうでしたが、折木奉太郎を初めとして漫画やアニメ映えするだろうなという登場人物たちによる大袈裟なやり取りも特徴的です。その辺りが変に気になっちゃう読者もいるのではないかと思いますが、個性的だからこそキャラクターそれぞれに愛着が湧きます。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

2段階の謎解き
・映画の脚本
奉太郎が辿り着いた脚本は面白い視点だなと感心しました。ビデオ映画という題材ならではのトリックです。しかしこの物語としては古典部メンバーから指摘されたように筋が通っていないもので、さらに先に真相がありました。

『ビデオ映画の目的は、第一にスタッフの自己満足とすれば、第二は観客を楽しませることでしょう。登場人物を悩ませることじゃない。』
 
・謎発生の真相
この映画の真相は、意外にも人間関係に深く結びついており、ただの「謎解き」ではなく、登場人物たちの感情や意志が交差していました。

本郷真由の脚本の謎としてはすっきり解かれるわけですが、今回のほろ苦さは奉太郎が入須によって踊らされていたという点かと思います。奉太郎が持つ自分に対する評価を見つめ直す機会になったわけですが、結果的にそれ入須によってを利用されてしまう。奉太郎はどう受け止めたのでしょうか。切ない結末でした。

チャットのやり取り
冒頭のチャットのやり取りは本郷、奉太郎の姉、千反田えるの3人と入須との間で行われたものでした。初めは意味が読み取れませんでしたが、後から読み返すときちんと繋がります。結末をより印象付ける凝った演出だなと感じました。

印象的な台詞
福部里志の以下の台詞はとても共感できました。しかしそのことを高校一年生の段階で自覚しているというのは達観しすぎなような気もします。

『でも、僕はそれにはなれないんだ。僕には、深遠なる知識の迷宮にとことん分け入っていこうという気概が決定的に欠けている。~第一人者にはなれないよ』

あと先輩が語った脚本の以下の台詞は笑いました。シンプルながらとても可能性を広げるような、奉太郎の脚本に繋がるキーフレーズでした。

沢木口
『別にいいじゃない、鍵ぐらい』

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/愚者のエンドロール

まとめ

以上、米澤穂信さんの「愚者のエンドロール」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。