読書感想です。今回は九段理江さんの「東京都同情塔」です。
第170回芥川賞受賞作です!
ネタバレは含みません。
作品情報
- 作品名:東京都同情塔
- 作者 :九段理江
- 出版社:新潮社
- 頁数 :144P
こんな人におすすめ
- 文学賞受賞作品を読みたい
- 生成AIを活用していることが気になる
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『ザハの国立競技場が完成し、寛容論が浸透したもう一つの日本で、新しい刑務所「シンパシータワートーキョー」が建てられることに。犯罪者に寛容になれない建築家・牧名は、仕事と信条の乖離に苦悩しながら、パワフルに未来を追求する。ゆるふわな言葉と実のない正義の関係を豊かなフロウで暴く、生成AI時代の預言の書。』引用元:新潮社
感想
2020年に東京オリンピックが開催された日本、犯罪者に寛容な刑務所が建てられるという背景、そこに関わる建築家が主要登場人物。
執筆に生成AIを一部活用しているということも話題になっていますね。
変わった世界観、登場人物も個性的ではじめはファンタジー小説を読んでいるようでしたが、段々と読者に訴えかけてくるものを感じてきます。驚きの結末が!という物語ではなく、物語を通してあるテーマについて考えさせられ、この本を読んで何を思ったかを他の人と話したくなるような内容です。
私がこの本を読んで特に考えさせられたのは、日本人にとっての”言葉”の扱いの移り変わりについてです。最近は、特に公の発言について、微妙な表現に厳しい世の中になっていますよね。どう表現するのが全方面に当たり障りがないか自ら検閲しながら発言をする必要があります。言葉を”正しく”使うこと、その”正しさ”は時代とともに移り変わっており、現代における”正しい”言葉では、それを通して何かを本当に理解し合えるのでしょうか。ということをこの本を通じて私は考えさせられました。言葉を選びすぎて、自分が何を思っているのかさえ疑ってしまう。「自分はどう思うか」を見失わずに自分の中に確固として持つことが必要なのではないでしょうか。
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※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、九段理江さんの「東京都同情塔」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
ちなみに芥川賞含めた文学賞について簡単にまとめた記事もありますので、よければこちらもご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。