読書感想です。今回はハン・ガンさんの「すべての、白いものたちの」です。
ノーベル文学賞を受賞している韓国の作家ハン・ガンさんの代表作です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:すべての、白いものたちの
- 作者 :ハン・ガン
- 出版社:河出書房新社(河出文庫)
- 頁数 :192P
こんな人におすすめ
- 詩的な表現や感性豊かな文章が好き
- 静かで内省的な作品が好き
- 異文化や歴史に興味がある
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『チョゴリ、白菜、産着、骨……砕かれた残骸が、白く輝いていた――現代韓国最大の女性作家による最高傑作。崩壊の世紀を進む私たちの、残酷で偉大ないのちの物語。』
引用元:河出書房新社
感想
白をテーマとした短い物語で構成
本作は彼女の個人的な経験と歴史的な記憶が交錯する作品です。
生後すぐに亡くなった姉への思いを起点に、白という色をテーマにした65の短いお話で構成されています。
詩を次々と読んでいるような読感です。
おくるみ、産着、雪、骨、灰、米など、白にまつわるさまざまな事物を通じて、生命の儚さと偉大さを静かに描き出しています。
純文学的
わかりやすい起承転結があるような物語ではなく、一見繋がりも見えにくい短いお話が続いていきます。
私のような素人からするとどう読んでいいのか分かりづらさはあります。
作られた物語というものではなく、著者の内面にあるものを文章として形作ったものであり、絵画を見るとか、クラシック音楽を聴くみたいな、芸術性に触れる感覚に近いのかなと思いました。
5種類の紙材
単行本では異なる5種類の紙材が使用されているという、特別な造本の工夫が施されています。
白にもさまざまな白があることを表現するためのものとのことです。
私は単行本で読んだのですが、文章で描かれる様々な白と、目に見える様々な白とで、作品への没入感が増すような良い工夫だなと思いました。
しんと静まった部屋で、繰り返し読みたい
詩のように凝縮された美しい言葉で綴られており、深い余韻を感じます。
詩のように短くて読みやすい構成になっているので、繰り返し読むにも適しています。
しんと静まった部屋で、またじっくりと向き合いたいと思えた作品です。
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、ハン・ガンさんの「すべての、白いものたちの」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。