読書感想です。今回はエラリー・クイーンの「Xの悲劇」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:Xの悲劇
- 作者 :エラリー・クイーン
- 出版社:KADOKAWA(角川文庫)
- 頁数 :448P
こんな人におすすめ
- 本格ミステリが好き
- 昔の雰囲気を楽しめる
- キャラのクセが強い探偵が好き
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『ドルリー・レーン氏初登場! ミステリの古典が新訳で生まれ変わる。
結婚披露を終えたばかりの株式仲買人が満員電車の中で死亡。ポケットにはニコチンの塗られた無数の針が刺さったコルク玉が入っていた。元シェイクスピア俳優の名探偵レーンが事件に挑む。』
引用元:KADOKAWA
感想
ミステリとして名作中の名作。
ニューヨークを舞台に起こった、不可解な毒殺事件。
現場には奇妙な仮面を被った犯人の目撃証言、密室のような状況、そして不可解な遺留品…。
警察もお手上げの中、元舞台俳優で変装の名人「ドルリー・レーン」が登場し、冷静かつ論理的に事件を紐解いていく。
シリーズ第一作として、後の作品にもつながる重要な一冊です。
本格中の本格
最初は少し古風な文体に戸惑いながらも、読み進めるうちにそのクラシックな雰囲気に引き込まれていきました。
特に印象的だったのは、犯人の動機とトリックがきちんと「人間の心理」と「論理の積み上げ」の両方から成立している点。
読者が犯人に辿り着けるだけの手がかりがちゃんと提示されているフェアプレイ精神も、ミステリ好きにはたまりません。
魅力的な探偵役
何より、探偵役のドルリー・レーンのキャラクターが魅力的でした。
聴力を失った元俳優という異色の経歴ながら、観察力と推理力で事件を切り開いていく姿がとてもスマート。
彼の過去や性格が物語の中でじわじわと明かされていく感じも、物語全体に深みを与えていました。
ボリューム・読みやすさ
・ページ数はそこそこあるけど、テンポはいい!
上下巻ではないけどありませんが内容はぎっしりした印象です。とはいえ、事件が起きてからの展開が早く、どんどん読ませてくれます。途中でダレる感じはありません。
・文体はちょっと古め。しかし慣れれば読みやすい
翻訳調ということもあり、最初はやや文体に違和感があるかもしれません。しかししばらく読んでると、そのクラシックな語り口がクセになってきます。逆にそれが作品の雰囲気づくりにもハマってるように感じます。
・登場人物は多めだけど、ちゃんと整理されてる
ミステリは登場人物が多くて混乱しがちですが、本作は割と整理されてて、「誰が誰だっけ?」となる場面はありませんでした。読者のための配慮がされてるように思います。
・“ながら読み”よりは、じっくり向き合うタイプ
推理に関わる描写やセリフが大事なので、のんびりコーヒーでも飲みながら読むのがおすすめです。サクサク読めるというより、「じっくり味わう」タイプの本だと思います。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
他の読者の感想
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※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、エラリー・クイーンさんの「Xの悲劇」の読書感想でした。
昔の本ですが、今読んでも面白く、むしろこの時代だからこそ書けた“舞台劇のようなミステリ”って感じがします。クラシックな本格ミステリに触れたいなら、これは外せない一冊です。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。