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レーエンデ国物語 月と太陽/多崎礼 -感想- シリーズ第二弾。壮大なスケールで描かれる革命の灯。

読書感想です。今回は多崎礼さんの「レーエンデ国物語 月と太陽」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:レーエンデ国物語 月と太陽
  • 作者 :多崎礼
  • 出版社:講談社
  • 頁数 :608P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 王道のファンタジー小説を読みたい
  • 悲壮感と美しさを兼ね備えた世界観を体感したい
  • シリーズ第1弾を既に読んだ
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。
そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。
藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、
ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。
しかし、その生活は長く続かなかった。村の危機を救うため、テッサは戦場に出ることを決める。
ルチアーノと結婚の約束を残して――。

封鎖された古代樹の森、孤島城に住む法皇、変わりゆく世界。
あの日の決断が国の運命を変えたことを、二人はまだ知らない。』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

シリーズ第2弾
レーエンデ国物語の第2弾。時系列としては前作の後になります。前作から地続きになっていることを表すような描写もあり、シリーズ物らしい楽しみ方も出来る今作です。

前作と比べて
前作と比べると物語のスケールは大きくなっており、国を揺るがすような展開へと盛り上がっていきます。幻想的な世界観が大きな特徴のひとつであるレーエンデ。そこにある人間の想い。人間と国の物語であるという点に違いはありません。

革命
国を揺るがすような動きに争いは避けられず、前作に比べて血なまぐさい展開が多くあります。そういう点で革命の話らしさとしては前作を上回っています。しかしただ争いがそこにあるのではなく、そこに描かれる人間の様々な思いが物語の根幹になっています。

劇的な展開
前作に決して劣らない劇的な展開が待っています。前作も踏まえてこれがレーエンデ国物語なんだなと感じる共通した雰囲気を持っているように私は思いました。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

アルトベリ城攻略編からが本番
前作もそうでしたが序盤から中盤は物語の助走になっていることはわかるものの少しダレてしまい大丈夫かな?と不安になります。世界観を馴染ませるために必要な助走ではあるとは思いますが。ただアルトベリ城攻略編以降は勢いが増し引き込まれました。義勇軍が発展していく過程とルーチェの攻略法探索、隙の無さそうなアルトベリ城の攻略へそれぞれがどう繋がっていくんだろうとワクワクしました。

エドアルドの悲愴
最も印象に残った人物はルーチェの兄であるエドアルドでした。登場シーンは多くないものの、最も闇深い背景を持ち壮絶な過程を経てルーチェの前に現れる、その衝撃は作中随一に感じました。そしてルーチェとエドアルドとテッサの関係性がまたその状況を際立たせます。ルーチェがエドアルドと対面しやり取りするシーンにはその背景の複雑さが滲み出ていてゾクゾクしました。

『「ああ教えてくれ、ルチアーノ!」 エドアルドは眉を寄せ、哀れみを込めて問いかけた。 「私がテッサの死を願わない理由がどこにあるのかを」』

英雄テッサ
序盤は怪力だけが取り柄の人物であるように描かれていました。彼女のどこに義勇軍を率いるようなカリスマ性があったのか、そして途中から自然と行っている駆け引きの上手さはどこから生まれたのかがイマイチ読みとれず、序盤と終盤ではまるで別人のように見えました。それも戦争が人を変えてしまうということの表現なのでしょうか。

まあそんな違和感は些細なことで、彼女の存在が最も際立つのは最期のシーンかと思います。すべてを英雄譚として歴史に残すためにそこに向けて決まった運命を辿っていたというようにさえも見えました。彼女の人生がこの後のレーエンデの歴史にどう影響を与えたのかが気になるところです。

ルーチェは何故『残虐王』に
前作と同様に特定の時点以降はあえて省略されたような形で起きた事柄だけ淡々と記されました。その中の衝撃的な一つが、ルーチェはエドアルドの後継者となり『残虐王』として歴史に名を刻むことになったという内容です。何故でしょう?テッサとエドアルドの存在が大きく影響しているとは思いますが、ルーチェの内面をひっくり返すほどのものでしょうか?エドアルドの背景と比べてしまうと少し小さく見えてしまうこともあり、そこに至るまでの過程が想像できず何があったのかが気になってしまいます。
あと、神の御子の存在も謎めいていますね。力の一部が見えたものの一体何なのか。今後の話にも繋がりそうな要素の一つですね。

3行でネタバレ(開く際は要注意!!!)

続きを読む ※ネタバレ注意
前作から百数年後、レーエンデ人「テッサ」と帝国人「ルチアーノ(ルーチェ)」の物語
帝国からの圧政からレーエンデを解放するためテッサを中心にレーエンデ義勇軍を立ち上げ、帝国と衝突
テッサは英雄となり革命の種を残すが帝国により処刑、ルチアーノは帝国に戻され、後の王へ

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/レーエンデ国物語 月と太陽

まとめ

以上、多崎礼さんの「レーエンデ国物語 月と太陽」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。