当サイトの本に関する記事はすべてネタバレに配慮しています。御気軽にお読みください。

レーエンデ国物語/多崎礼 -感想- 国産王道ファンタジー。悲しく美しい世界に惹き込まれる。

読書感想です。今回は多崎礼さんの「レーエンデ国物語」です。
シリーズ作品の中の第1作目で、2024年本屋大賞ノミネート作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:レーエンデ国物語
  • 作者 :多崎礼
  • 出版社:講談社
  • 頁数 :496P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • ファンタジー小説が好き
  • 悲壮感と美しさを兼ね備えた世界観を体感したい
  • シリーズものとなっている話題作を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
1
2
3
4
5
読み応え
1
2
3
4
5
過激表現
1
2
3
4
5

あらすじ

『異なる世界、聖イジョルニ帝国フェデル城。
家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。
呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。

空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。
その数々に魅了されたユリアは、
はじめての友達、はじめての仕事、はじめての恋を経て、
やがてレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていく。』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

2024年本屋大賞ノミネート作品です。「レーエンデ国物語」はシリーズものであり、本記事投稿時点で全4巻。本記事はその第1作目のものです。

正真正銘のファンタジー小説
中世ヨーロッパをイメージするような国々。まるっきりファンタジーな超自然的現象で満ちたレーエンデ。魔法が飛び交うようなことはありませんが、幻想的で作り込まれた世界観が大きな魅力です。

その中でも大きな特徴がレーエンデの郷土病である「銀呪病」。人間が患うと死に至る病でありながらその演出に美しさを感じます。悲壮美というのでしょうか。レーエンデの独特な雰囲気を作り出しています。本の表紙がそんな雰囲気を表していてとても綺麗です。

誰でもすっと理解して読み進められる
登場人物などの名前がカタカナなので混乱しそうと思いきや、主要人物がそれほど多くないので混乱するということはありませんでした。物語を追う分には全く問題ありません。ただ、地域や種族の名前なども含めて全体をきちんと把握しようと思うと一度では頭に入りきらず振り返りながら読むことが私は必要でした。

物語としては非常にわかりやすく、また登場人物たちもわかりやすい個性を持っています。敢えて言えば目新しさはあまり感じないかもしれませんが、誰でもすっと理解して読み進められるのは良さの一つだと私は思います。

もっとこの世界のことを知りたくなる
また登場人物たちの心情や関係性の変化もわかりやすく描かれています。この世界観と並んで登場人物たちの想いの絡み合いも大きな魅力です。読者側としてこの人物は好きとか好きになれないなどが生じやすそうで、その違いでもこの作品の印象が変わるかもしれません。

序盤は物語の動きが少し地味に見えるかもしれませんが、超自然的現象の発生や敵対する存在の登場などにより絵が次々と移り変わりどんどん惹き込まれていきます。その世界観と主要人物たちの想いから生まれる劇的な展開には胸が熱くなり、読み終えた後はもっとこの世界のことを知りたくなっていました

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
kindle unlimitedで読書生活をより楽しみませんか?対象の小説や漫画など、
200万冊以上が読み放題。
登録はこちらから↓
使用感など書いた記事もありますので読んでみてください↓↓↓
kindle unlimitedを使った感想を率直に。おすすめできる?【レビュー・評価】

感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

見える景色の美しさ
最序盤からファンタジーの世界に来た!という感じを真っ正面から受けられてワクワクしました。この世界観の入り口に立って見える景色が素敵です。巨大な木の洞、シャボン玉のような生き物?、幻の海、神秘的な雰囲気が美しい。

気になる点
ただ正直なところ序盤~中盤は少し退屈でした。世界に入り込んで馴染みだすとヘクトル、ユリア、トリスタンの活動が地味に見える時間が長かったように思います。

また会話の内容で、気になる言い回し(口に出す言葉としては大袈裟に感じる、など)だったり、妙に軽い感じを受ける部分があり、少し違和感を感じました。前者は世界観と合わせていると理解できなくはないですが、後者はイメージしていた世界観から外れて時代錯誤しているような変な感覚になりました。

世界構造の魅力
ガフをはじめ、様々な人物の思惑が交錯しだすと、作り込まれた世界観が本領発揮し、どう展開するのかワクワクが膨らみ読む手が止まらなくなりました。

トリスタンのハッピーエンドとは言えない結末から、ユリアが彼を「レーエンデそのもの」と表現したことの意味が理解できたように思います。救われる展開になるのかなとも想像しましたが、そうならないところは世界観を壊さず悲しくも美しく感じられました

物語としてはユリアとトリスタンに注目が集まり2人の恋愛チックな展開になっていったこともあり、まとめられた結末部分や各国の状況などをもっと深堀してほしかったと私は思ってしまいました。続編は異なる時代だったりするそうでこの時代のことが深堀されないとしたら尚更です。それほどこの世界観に魅力を感じているということでもあります。

しかし明らかに回収されていない要素があるのは気になりますね。ユリアの御子がどうなったのかは続編に繋がるのでしょうか?

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/レーエンデ国物語

まとめ

以上、多崎礼さんの「レーエンデ国物語」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。