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店長がバカすぎて/早見和真 -感想- コメディとミステリーの融合!店長が気になって仕方なくなる

読書感想です。今回は早見和真さんの「店長がバカすぎて」です。
2020年本屋大賞ノミネート作品です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:店長がバカすぎて
  • 作者 :早見和真
  • 出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
  • 頁数 :320P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 笑える明るい物語が読みたい
  • 店長がどんなキャラクターなのか気になる
  • コメディとミステリーの融合と聞いて興味が湧く
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『谷原京子、二十八歳。吉祥寺の書店の契約社員。超多忙なのに薄給。お客様からのクレームは日常茶飯事。店長は山本猛という名前ばかり勇ましい「非」敏腕。人を苛立たせる天才だ。ああ、店長がバカすぎる! 毎日「マジで辞めてやる!」と思いながら、しかし仕事を、本を、小説を愛する京子は──。全国の読者、書店員から、感動、共感、応援を沢山いただいた、二〇二〇年本屋大賞ノミネート作にして大ヒット作。』

引用元:角川春樹事務所

感想

面白店長によるコメディ
書店を舞台にそこで働く主人公が店長をはじめとする様々な登場人物たちに振り回される様子を描く、コメディ要素が主となっている物語です。

癖のある人物が何人も登場しますが、何と言ってもこの物語の軸は店長です。どのように「バカ」なのかはこの作品の肝になりますが、通常の感性からのズレが絶妙で「ただものではない」店長が気になって仕方なくなります。コメディ要素の多くは店長が関わっていますが、私としてはそれの多くがツボにはまり、ニヤニヤしたり声に出てしまうくらい笑える場面がいくつもありました。

書店員さんの思い
主人公の視点で物語は進んでいきます。主人公は本好きのわりと普通な人物で感情移入(というか同情?)がしやすく、文章がすっと入ってきやすいです。書店員さんとしての悩みみたいなテーマもあり、その界隈に馴染みがない私からすると新鮮に思える部分も多く、今後書店に行く際の視点が少し変わりそうです。

コメディとミステリーの融合?
また、物語にはちょっとした仕掛けも含まれており、謎解きのようなワクワクも感じることができます。コメディ一色の単調にさせず、笑う面白さとは別の角度の面白さも感じられることで充実感があります。またちょっとした恋模様もあります。笑いあり、ワクワクあり、ドキドキあり、で盛りだくさんのエンタメ作品といった印象です。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

店長は一体何者?
一番笑ったのは2章「小説家がバカすぎて」の最後です。店長がそこまでの言動とは打って変わって小説家の富田先生に対してごく真っ当な論調で諭していき、あれ?店長本当は優秀な人?と思わせておいてからの、「それでは聞いてください~」の流れ。落差が大きくて笑わずにはいられません。しかし店長が語った真っ当な部分の話には嘘はないように見えますし、これだけ堂々と振る舞い、理路整然と話が出来るのはやはり優秀なのでは?と思います。

良い味変となる謎解き
終盤に谷原がマダムと呑みに行くあたりから雰囲気が変わりミステリーっぽさが見えたのは良い味変だなと思いました。物語の中に謎が大きく2つあったと思っています。1つは大西賢也が誰なのかという部分で、こちらは物語の中で説明されておりアナグラムなど単純で分かりやすかったですね。「店長がバカすぎて」をリンクさせているのも面白い仕掛けでした。

もう1つがこの作品の大きな魅力だと私は思っていますが、店長が本当にバカなのか、ピエロを演じてるのかという謎で、結局底が知れないままでした。表面上はズレた言動ばかりに見える店長ですが、節々にただバカなわけではないような面が見えます。特に終盤、度々登場した自己啓発本を覗き見ると店長のこれまでの言動が記されていた、、、ピエロを演じていたということ?、、、この夜の書店の緊張感はミステリーそのものでした。と思いきや、最後の最後でその自己啓発本の著者と店長の氏名がアナグラムになっていると知る、、、これらをそのまま店長の意図通りだとして、何を企んでいるのかさっぱりわかりません。まんまと店長のことが気になって仕方なくなってしまっていました。

あとサブ的な謎としてマダムがなぜ店で泣き出したのか、という点もありました。結局理由は明らかにはなっていませんが、店長と何かしらの関係があって、店長と谷原が一緒にいるところを見て何か勘違いをした?みたいなことでしょうか。マダムが泣き出した場面は混沌としていて深刻な雰囲気なはずなのに笑えました。

書店の裏側
書店や書店員さんの仕事に関する内容は、界隈のほんの一部の情報ではあると思いますが、馴染みのない私からすると興味深かったです。谷原をはじめとした書店員さんの思いや努力を見て、書店のちょっとした工夫にも書店員さんの色々な思いが込められているんだと、そういう視点で書店を見に行ってみたくなりました。本の帯にあるコメントなど今までさらりと見過ごしていた部分にももっと興味持って見てみたくなりました。

充実の読後感
ここまで書いて色んな種類の感想が挙がっているように、コメディ要素に笑い、書店員さんの思いを学び、ちょっとした恋模様にドキドキし、謎解きにすっきりし、残った謎に惹きつけられ、と様々な角度の刺激を受けた不思議な読後感でした。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/店長がバカすぎて

まとめ

以上、早見和真さんの「店長がバカすぎて」の読書感想でした。未読の方は是非手に取ってみてください。
「新! 店長がバカすぎて」という続編があります。店長のことが気になって仕方ないのでそちらも読むしかありませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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