読書感想です。今回は中村文則さんの「掏摸」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:掏摸
- 作者 :中村文則
- 出版社:河出書房新社(河出文庫)
- 頁数 :192P
こんな人におすすめ
- 犯罪や闇社会が扱われるような暗い雰囲気の小説が読みたい
- スリリングな物語が読みたい
- 様々な解釈が生まれるような構図に興味を持てる
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎、かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」――運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは……。
その男、悪を超えた悪――絶対悪VS天才スリ師の戦いが、いま、始まる!!』
引用元:河出書房新社
感想
スリって感じで書くと掏摸なんですね。カタカナで目にすることが多いような気がします。
腕の良いスリ師が主人公。犯罪を生業とする人物たちを中心に描かれるというのが特徴のひとつです。これだけでわかるとおり暗い雰囲気の作品です。中村文則さんによる作品のイメージ通りという印象です。
ページ数は多くなく、文章はとても読みやすいのでさらっと読むことができます。かといって内容もさらっとしているかというと全くそうではなく、重厚感があり密度の濃い内容になっていると感じました。
とある危険な仕事をこなさなければならないという状況に迫られ奮闘する主人公、その先に待つ結末は、という筋がとても分かりやすくスリリングな物語です。スリを実行するシーンはどれもその状況やテクニックが細かく描かれており緊張感を感じるとともにそのノウハウに感心してしまいました。
加えて大きな特徴の一つだと思ったのが登場するキャラクターたちの構図です。主人公、彼をコントロールしようとする木崎。彼らが持つ理念は一般的とは全く言えず様々な解釈が持たれる部分かと思います。そして主人公が度々目にする謎の塔。これらのようなぱっと理解できない複雑な要素が入り混じった構図には物語の流れ以上に何らかの意味が含まれているようで、それがこの作品に奥深さを感じさせるように思います。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
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感想(ネタバレ有り)
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まとめ
以上、中村文則さんの「掏摸」の読書感想でした。
中村文則さんならではの雰囲気を持つ作品でどんどん気持ちが引きずり込まれて行ってしまいます。癖になる感覚です。未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。