読書感想です。今回は瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」です。
2019年本屋大賞受賞作です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:そして、バトンは渡された
- 作者 :瀬尾まいこ
- 出版社:文藝春秋(文春文庫)
- 頁数 :432P
こんな人におすすめ
- 温かい気持ちになれる物語を求めている
- じんわり泣ける話が好き
- 家族の絆について考えたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『家族よりも大切な家族
幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。』
引用元:東京創元社
感想
複雑な家庭環境なのに
2019年の本屋大賞受賞作で、家族の形や人とのつながりを描いた物語です。
主人公の森宮優子は、17歳までに7回も家族の形が変わり、4回苗字が変わるという複雑な家庭環境で育ちました。
彼女には5人の父と母が存在しますが、それでも困ったことは何もないと彼女は感じています。
こういった背景を持つ人物から想像する暗さがなく、彼女が過ごしてきた環境に興味が湧きます。
家族の形や人とのつながり
物語は、血のつながりだけでなく、心のつながりが家族を形成することを示しています。
優子は、血縁関係のない親たちとの生活を通じて成長していきます。
特に、義理の母・梨花や義理の父・森宮との関係は、家族の多様な形を象徴しています。
これらの親たちとのエピソードから、家族とは血縁だけでなく、共に過ごす時間や思いやりによって築かれるものだと感じられます。
悪意がほぼなくただ温かい
物語全体を通して、登場人物たちの優しさや温かさが伝わってきます。
なかなか現実はそうはいかないと思ってしまう部分もあるかもしれませんが、こうあればいいなという理想を体験できることは小説の良さであり、この作品の大きな魅力だと私は思います。
読みやすいからこそダイレクトに伝わってくる
文章はシンプルで分かりやすく、場面転換もスムーズだから、サクサク読めます。
家族構成のややこしさが若干ありますが、気になるほどでは全くありません。
読みやすいからこそ、登場人物の想いがダイレクトに伝わってきて、気づいたら感情が揺さぶられるように感じます。
短い小説ではありませんが、ストーリーがどんどん進むのであっという間に読めてしまいます。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」の読書感想でした。
家族の在り方や人とのつながりについて考えさせられるとともに、心温まるエピソードが詰まっています。「もしこんなふうに人が優しさを渡していけたら」と、優しさや愛情の大切さを改めて感じることができる一冊でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。