読書感想です。今回は大江健三郎さんの「死者の奢り・飼育」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:死者の奢り・飼育
- 作者 :大江健三郎
- 出版社:新潮社(新潮文庫)
- 頁数 :320P
- 書影出典:大江健三郎『死者の奢り・飼育』(新潮社刊)
こんな人におすすめ
- 評価されている小説を読みたい
- 一般教養として大江健三郎さんの作品に触れたい
- 日本人ノーベル文学賞作家の作品を読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた「人間の羊」など6編を収める。“閉ざされた壁のなかに生きている状態”を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。』
引用元:新潮社
感想
ノーベル文学賞作家の初期作品集
大江健三郎さんのことは名前を知っている程度で作品に触れたことはありませんでした。日本人ノーベル文学賞作家ということで、どんな作品があるのか気になって、まず手にしてみたのがこの本でした。
デビュー作である「死者の奢り」、芥川賞受賞作品の「飼育」などが収録されています。まずはデビュー作を読んでみるというのは、小説を手にする際の主な選択基準の一つになると思うので、そういう意味ではおいしい本です。
シンプルに面白く、気負う必要はない
大江健三郎さんの肩書がすごすぎて、私なんかには理解できない難解な内容なんだろうかと臆していましたが、読み始めるとそんなことは感じさせずまずシンプルに面白いです。いや、小説ってそういうものですよね。
半世紀以上前の作品なので、時代の違いを感じる部分も少なくありませんが、それで小説に入り込めないということはありません。むしろ今読むからこその新鮮さはあるように思います。どの作品もテーマがかなり独特で、現代にも変わらず通じているような人間の不条理さを感じるものが多いです。絡みついてくるような文体で小説の世界へ引きずり込まれます。
短編だから読みやすいし考えやすい
例えば「死者の奢り」は生と死の境界について考えさせられる物語であったり、一つ一つの作品がテーマを持っているのですが、短編なので物語の全体像を把握しやすく、読んでいる自分の考えを整理しやすく感じました。文学として突き詰めて知ろうとするともっと違って見える部分もあるのかもしれませんが、私のような一般的な読者であっても読んでいくうちに考えが膨らんでいくのがとても面白い感覚でした。
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、大江健三郎さんの「死者の奢り・飼育」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。