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人形式モナリザ/森博嗣 <あらすじ・感想・考察> Vシリーズ第2弾。人形とは。悪魔とは。

読書感想です。今回は森博嗣さんの「人形式モナリザ」です。
Vシリーズ第2弾です。第1弾の感想記事はこちらです。

黒猫の三角/森博嗣 -感想- Vシリーズ第1弾。個性的な登場人物たちとの出会い。そして密室殺人。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:人形式モナリザ
  • 作者 :森博嗣
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :408P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • Vシリーズ前作を読んだ
  • ミステリー小説が好き
  • 哲学的な思考をすることが好き
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
1
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4
5
読み応え
1
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5
過激表現
1
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3
4
5

あらすじ

『「乙女文楽」上演中、演者が謎の死を遂げた衆人環視の中、殺された女性の家族の1人が二年前に殺害されていた。被害者は悪魔を崇拝しており「神の白い手」によって殺されたというのだが…。シリーズ第2弾』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

Vシリーズ第2弾

シリーズものの続編ですので、前作を読んでいた方がキャラクターのことを知れているため楽しめるかと思いますが、物語としては単品でも成立している作品です。

相変わらずの哲学的問い

今回はタイトルにもある通り「人形」が物語中に出てきます。

人の形。

操り人形。

ちょっと考えてみると不気味な存在にも感じられますよね。

ミステリー部分と絡めながら、哲学的な思考に触れていくことになります。脳が刺激される感覚がたまりません。

散りばめられた謎

特徴的だと感じたのは様々な謎が散りばめられていることです。

ミステリーなんだから当然だとでしょう、という謎ではなく一見物語から置いてけぼりになっているような小さな謎が存在します。

それを森博嗣さんの作品らしい(と私は感じる)形で回収されていくのが面白かったです。やはり一筋縄ではいきません。

関係図がわかりにくい

あまりここまで読んだ森博嗣さんの作品では感じたことがなかったですが、今回はやや登場人物の関係(家系図)がややこしくて混乱しました。

事件を追うこと自体には影響ありませんが、背景を考察するにあたっては関係を理解する必要があるので少し煩わしかったです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

最後の一行

悪魔であるアトラクションのロバの写真を「お義母様」と麻里亜が言ったセリフ。導きの手をパッと離されるような感覚になりました。

度々現れていた「悪魔」とは義母である「巳代子」であり、麻里亜は悪魔に操られた人形として亮、毅、そして雅代を殺してきた。それを陰で操っていた黒幕は巳代子であったということですね。

最後の一行があれだったということで、なぜ?という背景は読者に委ねられた形になっています。

岩崎雅代の血が一掃されているということで、その血筋に対する何かがあることはわかりますね。

トリックより動機

誰がどうやってやったかというのはシンプルでしたが、やはり注目すべきは動機ですよね。

理解しがたいものではありますが、保呂草や紅子が言っていたような宗教の基本原理かもしれないという考察や、罪とは何かという論理は興味深いものでした。

自分を人形化することで、神を犯人に仕立て上げる
自分がやったことではない、もっと違う存在が自分を操ったのだ。自分は単なる人形に過ぎない。自分の意識の外に、本来の意志がある。自分の内の意志を忘却し、消去して、外側の虚構の意志を造り上げる。保呂草さんの言ったとおり、これがすべての宗教の基本原理かもしれない。そう信じることで自分を保持する。自分を生かす。そうしないと、保持できない。生きていけない。それが人間の脆弱さであり、柔軟さでもある
人を殺したら、罰せられる。そのルールがすべてです。それ以外には、何一つ有効なものはありません。
それを忘れないで。言葉だけのことなの。全部そうなんです。言葉で理由をつけて、どんなふうにでも変えてしまえるの。言葉こそが、悪魔であり、神であり、私たちの罪でもある。でも、そこにしか、真理はないのよ

保呂草はなにもの

保呂草がまた一部の犯行の犯人だったというのは驚きでした。

前作から引き続きでこんな要素も盛り込んでくるとは。

紅子もそうですが、まだ中心人物たちが何かを抱えていそうに見えます。

怪盗という一面も追加された保呂草は今後の作品でまたどう関わってくるのか注目したいと思います。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/人形式モナリザ

まとめ

以上、森博嗣さんの「人形式モナリザ」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。