読書感想です。今回は劉慈欣さんの「三体」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:三体
- 作者 :劉慈欣
- 出版社:早川書房(ハヤカワ文庫SF)
- 頁数 :640P
こんな人におすすめ
- SF小説が好き
- ワクワクするような小説が読みたい
- 世界的に評価されている小説を読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『〈ヒューゴー賞受賞〉文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。彼女はある日謎めいた軍事基地にスカウトされるが、そこでは人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが極秘裏に進行していた……。
全世界でシリーズ累計2900万部を売り上げた、エンタメ小説の最高峰!』
引用元:早川書房
感想
スリリングなSF小説
中国の作家さんのSF小説です。物語の語り口はスリリングで、科学的描写が非常にリアルで説得力があります。
一方で、人間ドラマや哲学的な問いかけも忘れられていません。
そのバランスが、読者を感情的にも知的にも刺激的な物語に引き込む要因となっています。
三体問題
タイトルの三体ですが、少し読み進めると「三体問題」が物語に関わることがわかります。
「三体問題」とは物理学の問題で、ざっくり言うと重力相互作用する3個の質点の運動がどうなるかということを問うものです。
もう少しイメージすると、宇宙に3つの星のみが存在するとして、その3つの星がお互いに重力で引かれ合う中でどういう動きをするかということかと思います。
で、その「三体問題」がなんなの?というのが物語の中でも重要な謎の一つであり、その「三体」がキーワードにもなっています。
尻上がりに面白くなる
物語は中国の文化大革命期から始まり、人間の歪さを感じるような争いなどが生々しく描かれます。
初めはこれがどうSFなの?という話が続き、もしかすると期待していたものと違うとそこで止めたくなる人もいるかもしれません。
ただ、その後に空気は一変し、本編が待っています。科学者の大量自殺。目を閉じても見える謎のカウントダウン。
宇宙が瞬く。謎のVRゲーム。一見どう結び付くのかわからないけどワクワクする要素が散りばめられます。
科学が危機に瀕するという陰謀めいた状況の真相を追っていくと、思いもよらぬ展開に繋がっていきます。
近未来的な技術や非日常的で謎めいた事象、先が気になる物語構成。
ボリュームのある小説ですか止め時が見当たらなくなってしまいます。
圧倒的な世界観
単なるエンターテインメントではなく、未来への想像力を広げ、現代社会が抱える課題を再認識させる作品のようにも感じます。
その壮大なビジョンと緻密な物語構成に感嘆します。
本作は三部作の一作目となっており、とんでもない世界に足を踏み入れてしまったとワクワクが止まりません。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。