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リバース/湊かなえ -感想- キレのある衝撃。謎が多い告発文から始まるミステリー。

読書感想です。今回は湊かなえさんの「リバース」です。
ドラマ化もされている有名小説ですね。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:リバース
  • 作者 :湊かなえ
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :352P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • ミステリーが好き
  • ひっくり返るような驚きを体験したい
  • ドラマ化もされている有名小説を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

謎の告発文から始まるミステリー
あらすじにもあるように、主役である深瀬に対する目が覚めるような告発文が届く、というところから物語が始まります。そこに至るまでの真相を追っていくというミステリーになっています。その告発文の背景には何があるのか、只事ではない雰囲気で興味を引く掴みですね。

嫌な苦味がない
ミステリーというと怒りや憎しみのようなドロドロした感情みたいなものを感じるものが多いですが、この作品の特徴としてそのような嫌な苦味みたいなものが少なく感じます。物語の核となる事件もミステリーとしてイメージする事件とは少し異なる印象を受けます。穏やかな場面も多くあまり劇的な展開が想像できない様子が続きます。しかしそのまま進むはずもありません。

関係性の深堀の先には
ミステリー小説において真相に向かうための手段として、事件に関わる人物の人間関係を追うというのは定番でこの物語でも同様です。ただし、その関係性の深堀にはこの物語ならではの意味が込められています。そしてその先に待っているのは…

キレのある衝撃
ミステリーなので驚きやすっきりがあるのは当然と構えていても、この劇的な展開にはドキッとさせられ思わず声が出てしまうほどの衝撃を受けました。緩急がとてつもないです。そして見えていた景色が反転します。そのキレの良さが抜群です。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

コーヒーが飲みたくなる
コーヒーに関する話題が度々出てきましたが、コーヒーの奥深さの一部を感じて興味を持ちましたし、美味しいコーヒーが飲みたくなりました。〈クローバー・コーヒー〉みたいな行きつけのお店があることに憧れてしまいます。蜂蜜の多様さやコーヒーとの組み合わせにも「そういうのもあるのかー」と興味の話題程度に読んでいましたが、まさかそんな穏やかな場面に真相の鍵があったとは…

深瀬への共感
物語としては広沢の学生時代を追うことが中心になっていきますが、それぞれの登場人物がスクールカーストにおいてどの立ち位置にいるかがわかりやすいように描かれていたので、誰がどういう思いを持っているというのが想像しやすかったです。特にポイントとなる深瀬や古川の気持ちと広沢の気持ちのすれ違いには共感できました。自己肯定感の低さ故に余計な勘ぐりや気遣いが発生してしまう。程度や立場は違えど同じような思いに触れたことがある方は多いのではないでしょうか。

独特な特徴を持つ事故
明確な悪意が存在しないミステリーというのは珍しいなと感じました。(もちろん飲酒運転を促したり、飲酒していたことを隠すことは悪ですが、人を殺すという悪意ではないという意味です。)それこそが結末の衝撃に繋がっているわけですが。

深瀬は広沢に行くように押すこともなければはっきり止めることもなく最終的には見送ったという、参加メンバーの中では悪さの程度がやや薄く見える印象。そんな深瀬が誰よりも深刻にこの事故を捉えているところにはその人柄が垣間見れます。

深瀬は告発文をきっかけに自ら、告発文のことは勿論、事故のこと、広沢のことを知るための行動に出るわけですが、広沢が過ごした時間や広沢が思っていたことを深瀬が知っていくというその過程が、衝撃の結末へ向けた助走になっているとはつゆ知らず。終盤までの道中ではだんだんとミステリーというよりちょっと変わった青春小説?と油断をしてしまっていました。

結末とその後
告発文の真相についてはミスリード含めてなるほどと思いつつ驚きはそれほどという感じではありました。しかしそれはあくまで衝撃の結末に向けた最後の助走でしかありませんでした。

広沢が生きていたとき以上に広沢への色々な思いを抱えることになった深瀬が最後の最後で、自分が事故の明確なきっかけを与えたであろうということに気付くことになります。それまでは事故への関与の程度としては薄く見えていた自分が明らかな当事者であると、事実が反転したということですね。私はその事に気付いた瞬間、不意に矛先が向けられたような心臓のあたりがフワッとするような感覚となり、思わず声を上げてしまいました。

深瀬にとっては残酷すぎる結末、結末ではなく新たな始まりになってしまいました。せっかく美穂子とも共に、というところで…彼はこのあとその事実を伝えたのでしょうか、それとも…。私としては深瀬の人柄からして事実を美穂子には打ち明けると思いますが、その事実に対して周囲がどのように反応し展開していくのかは…あまり想像したくないような。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/リバース

まとめ

以上、湊かなえさんの「リバース」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。