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プロジェクト・ヘイル・メアリー/アンディ・ウィアー -感想- こういうのでいいんだよ!という宇宙SF

読書感想です。今回はアンディ・ウィアーさんの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:プロジェクト・ヘイル・メアリー
  • 作者 :アンディ・ウィアー
  • 出版社:早川書房
  • 頁数 :上巻328P、下巻320P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 宇宙SFが好き
  • 宇宙冒険のようなドキドキワクワクする小説が読みたい
  • 映画化される話題作を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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5
読み応え
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過激表現
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あらすじ

『未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む! 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント』

引用元:ハヤカワオンライン

感想

こういうのでいいんだよ!という宇宙SF
宇宙探索、驚きとの出会い、夢のような科学、宇宙のロマンが詰め込まれた物語です。そればかりでなく特徴的な物語の構成により、未知への興味と登場人物の背景への興味が止まらず、止めどころがなくなるほどのめり込んでしまいます。奇をてらわず、古き良きSF映画というイメージが思い浮かぶようでした。

細かな科学設定
科学的な話題が多く登場します。私は専門家でも何でもないので多くの部分は理解が追いつきませんが何となくの道筋は理解することができます。そのように物語を追いやすいように表現はされておりワクワクするような要素になっているように思いますが、もしかすると重たく感じる方もいるかもしれません。ノンフィクションとフィクションが混じって描かれているんだと思いますが、全く知見がない身からするとどこからどこまでが作り話なのかがわからず全て本当にそういうものなのかもと思えるほど細かく作りこまれてリアリティを持っているように見えます。

長さを感じさせない物語の動き
上下巻でかなりのボリュームのある作品です。ただ、上にも書いたように興味を惹く未知が次から次へと出てくること、また物語としても次々と前へ進んでいくことから退屈する暇がありません。科学的な描写も含めて細かくすべて読もうとするとお腹いっぱいになりそうですが、私は物語の先が気になりすぎて細かな設定の理解はそこそこに読み進めたので、ボリュームのわりにあっという間に読めてしまったという感触でした。

映画化決定
映画化が決まったそうですね。宇宙SFとして画が映えそうですしドラマチックな展開で映像化に向いてそうだなと私は思います。それほど注目されて評価されている作品でもあるということですね。映画化楽しみです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

冒頭から惹き込まれる
自分が誰でどういう状態なのか、どこにいるのか、何もわからない状態から探っていく、その過程がとても細かく描かれていることと現実とは思えない特殊な環境であることが相まってたまらないワクワク感でした。過去と現在が交互に描かれる構成で、記憶を取り戻す形として現状に至った過程が徐々に明らかになっていくという様子も、先が気になってしまう上手な作りですね。

ロマンあふれる設定
宇宙SFとして地球の危機というのは鉄板の設定だなと改めて思います。過去編でのペトロヴァ・ラインの発見や太陽の出力減少などちょっとした異変から一気に宇宙規模の問題に発展していく過程にはゾクゾクするような緊張感がありました。

アストロファージの発見や研究の様子、宇宙での様々な体験など、この物語で描かれた未知との出会いは興奮するものばかりで、それもリアリティのある描写によって本当に自分が体験しているかのようでした。宇宙ってやっぱりロマンがありますね。

過去編を物語として成り立たせるためにはストラットという特殊な存在が必要だったのかもしれませんが、あまりに力がありすぎではないですか?例え地球の危機であったとしても主要各国を一つの目標に対して分け隔てなく協力させるみたいなことは現実では起こりえなさそうです。ただこうやって地球規模で力を結集するという展開には、何が出来るんだろうと想像が膨らみワクワクしました。

想像に任される部分
私が読み切れていないだけということもありえますが、一部の要素は謎のまま終えた気がします。
特に気になったのは、
・クルーの2人が死んだ経緯
→何らかの原因で1人を生かすために2人が犠牲にならざるをえなかった?昏睡からの復帰の過程のどこかで失敗した?
・地球のその後
→ここはあえて描かなかったところかと思いますが、想像が膨らみますよね。過去編で少し話が出ていたように食料を求めた戦争などが起こった混沌とした世界になっているのでしょうか。ただ、最後に太陽の出力が回復したということから、それにプロジェクト・ヘイル・メアリーの結果を追えるだけの情報や技術は保っていたということはわかりますね。
・水を必要としない生命体
→伏線なのかな、どこかに現れるのかなと注視していましたが、結局登場しなかった?何か意味のある要素だったのでしょうか?

異星人との交流が楽しすぎる
この物語の肝の部分で、アストロファージという地球外生命体の発見でさえ驚きでしたが、まさか意志疎通出来る異星人と出会えるとは。まさに「うっそだろう!」という感じでした。

ロッキーとの交流が始まってからは正直間に挟まる過去編よりもそっちを早く見たい!と思うくらい宇宙側の話が楽しくなっていきました。ロッキーが敵対したりしないといいな、、と思っていたらそのまま友情を育んでいったので私としては満足な展開でした。ロッキーの仕草が愛らしく、グレースとのやり取りも微笑ましくて、どうにか2人助かってほしいと願わずにいられませんでした。ただロッキーの見た目はきっといかついんでしょうね。

印象的な結末
中盤以降の展開から、
・2人とも各々の星に戻り星を救う
・2人とも帰還に失敗する
・一方が自分の星へ帰還し、一方は救われない
・・・
のような結末パターンを想像して、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかドキドキしながら読んでいましたが、私としては予想外の展開でちょっと笑えました。エリドで生きられるようにエリディアンが全力を尽くしてくれるというのも優しい世界でいいなとほっこりしました。逆にロッキーが地球に来たとしたら同じようにもてなすことは人間には出来ないように思ってしまうのは悲しいところです。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

読書メーター/プロジェクト・ヘイル・メアリー 下

まとめ

以上、アンディ・ウィアーさんの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。