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西の魔女が死んだ/梨木香歩 -感想- おばあちゃんとの魔女修行から学ぶ大切なこと

読書感想です。今回は梨木香歩さん「西の魔女が死んだ」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:西の魔女が死んだ
  • 作者 :梨木香歩
  • 出版社:新潮社(新潮文庫)
  • 頁数 :240P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 老若男女問わず読める作品が読みたい
  • 温かい気持ちになる物語が読みたい
  • 魔女修行を受けたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。』引用元:新潮社

感想

おばあちゃんとの生活はただ何ともない田舎で自然と共に生きる風景ではあるのですが、一つ一つの場面が美しいです。美しいと感じるのは現代の雑踏の中に生きているからなのでしょうか。

またその慎ましい生活から生きることの本質のようなものを感じます。こういう時間を過ごすことから生まれる”自分”もあるのかもしれません。そんなことをまいと一緒に考えているような感覚になります。

一方でタイトルの通り”死”もテーマの一つとなっていますが、悲しいばかりではなく、この作品らしい表現により”死”への向き合い方も考えさせてくれるように思いました。

ネタバレがどうという作品ではありませんが、以下、内容に触れながら感想を書きますのでご了承下さい。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

好きな場所を選んで畑を作っても良い、と言われる場面は、まいになったかのようにうわぁ!と嬉しい気持ちが湧いてきました。もう少し身近で言うと自分の部屋が与えられた、みたいなことでしょうか。一気に想像が膨らむあの頃の感じを思い出しました。

パパがおばあちゃんの家に来るところで、パパはおじいちゃんが大好きだった…、というパパの話の部分で何故かうるっときてしまいました。何故なんでしょう。何かここに複雑な印象を覚えたのですが、はっきりと表現できない、ただ印象的な場面でした。

まいが魔女修行で特に苦戦していたのが自分が思うことが正しいと信じ込んで囚われてしまう部分かなと思いますが、実際のところ本当に難しいことですよね。例えば、そのものの見た目、その時だけの印象、明らかでない因果関係など限られた情報のみから決め込んでしまうことって誰しもあります。それが疑いや憎しみに繋がり自分の行動に影響が出てしまうと、おばあちゃんの言う通りそれはひどく疲れることです。おばあちゃんは楽観的に見えますが、それは深く考えない楽観的ではなく考え抜いた上で積極的に楽観的であるように見えます。そのような楽観的でありたいと私は思いました。

死をマイナスばかりに捉えないおばあちゃんの考え方と、それを表現したお話の終わり方に、私自身も少し救われたような気持ちになりました。ただ、まいとおばあちゃんがあの状況でのお別れっきりになってしまった、というのは心痛いまま残っています。魂は次へ進めど、今の身体があってこそ今感じれることがある。出来る限り悔いが残らないような生き方をしたいなと改めて考えさせられました。「自分で決める」ことがそのためのヒントなのかもしれません。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/西の魔女が死んだ

まとめ

以上、梨木香歩さん「西の魔女が死んだ」の読書感想でした。
温かい気持ちになる物語でした。大人も子供も読めて今後も読み継がれていく作品だろうと思いました。
未読の方は是非手に取ってみてください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。