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ネバーランド/恩田陸 <あらすじ・感想・考察>青春の光と影。閉ざされた楽園の秘密。

読書感想です。今回は恩田陸さんの「ネバーランド」です。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:ネバーランド
  • 作者 :恩田陸
  • 出版社:集英社(集英社文庫)
  • 頁数 :280P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 青春小説が好き
  • ミステリー要素のある物語を楽しみたい
  • 人間関係や心の内面に関心がある

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『伝統ある男子校で寮生活をおくる少年たち。年末、4人の少年が居残りすることに。人けのない寮で起こる事件を通して明らかになる「秘密」とは。奇蹟の一週間を描く青春ミステリー。

引用元:集英社

感想

青春小説

年末年始を寮で過ごすことになった4人の少年たちの一週間を描いた、ちょっぴりミステリーな青春小説です。

彼らはそれぞれ秘密を抱えており、寮での共同生活を通じて次第にその「秘密」が明らかになっていきます。

思いテーマを扱いながらなぜか穏やか

物語が進むにつれて、少年たちは互いの過去や心の内を打ち明け、友情を深めていきます。

彼らの抱える問題は家族の問題や過去のトラウマなど重いテーマが含まれています。

しかし、恩田陸さんの巧みな筆致によって不思議な爽やかさに包まれています。

特に印象的だったのは、少年たちが抱える問題が彼らの性格や行動にどのように影響を及ぼしているのか、丁寧に描かれている点です。

少年たちのちょっとした行動がどこから生まれるものなのかを知るにつれて、それぞれの苦しみが他人事とは思えず、気付けばどっぷり感情移入しています。

光と影

終盤に明らかになる秘密と、彼らがその後どのような未来を歩むのかを想像すると、単なる一週間の物語が、彼らにとって重要な転機であると気付きます。

「青春」とは必ずしも明るいものばかりではなく、むしろその陰影があるからこそ輝きが際立つのだと感じました。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

ネバーランド

ネバーランドというとピーターパンを思い浮かべます。

子供たちがずっと子供のままでいられる楽園ですね。

この物語でも、あの寮、特に4人が過ごした期間には、そんな意味が込められているように思います。

この物語の舞台である寮という閉鎖的な空間が、少年たちの心理的な変化を引き立てていると感じました。

寮の空気感が彼らの心にある不安や恐れと同調しているようでした。

その中で、彼らが時折見せる無邪気な会話や笑顔が、逆に儚く切なく映るのが印象的でした。

ミステリーとして

統のもとに現れた首吊り人形や、4人が抱える個人の問題がミステリー要素になっていました。

この作品はミステリーとして紹介されていたりしますが、ミステリーのように読める部分は彼らの青春を彩る背景でありこの作品でもっとも注目すべきポイントではないように思います。

ミステリーを期待するより、シンプルに4人の青春物語として読むことが適しているように思います。

青春の陰影

美国が怖い話が苦手であるとか、光浩が開いたドアが怖いとか、それ自体の表面だけ見るとただそれだけのことに思えるようなことも、強烈なトラウマや事情による影響であるということが後から判明していき、細かな性格や行動が裏付けられていくのが爽快でした。

どんどん彼らに感情移入してしまう巧い構成だなと思いました。

光浩の境遇は過酷すぎて辛かったし、結末での彼の複雑な心情は理解できるとはとても言えず、また彼を前にしたときにどう振る舞えばいいかさえも自分だったらわからないと思いました。

その点で美国たちはそれぞれに対して上手に立ち回るなと感心してしまいました。

ただ最終的には4人とも希望が見えるような展開について落ち着いて良かったです。

統は前向きな展開なのかよくわかりませんが、彼ならどこでも飄々とやっていけそうに思えます。

4人の未来はどんな風になっていくんだろうと続きの物語も知りたくなりました。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/ネバーランド

まとめ

以上、恩田陸さんの「ネバーランド」の読書感想でした。

恩田陸さんの独特の世界観と、登場人物たちの生き生きとした描写に引き込まれ、一気に読み終えてしまいました。青春小説やミステリーが好きな方には、ぜひおすすめしたい一冊です。

未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。