読書感想です。今回は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」です。
※ネタバレがどうという作品ではないので、内容に軽く触れながら感想を書きます。この先読み進める方はそのことをご了承ください。
作品情報
- 作品名:むらさきのスカートの女
- 作者 :今村夏子
- 出版社:朝日新聞出版(朝日文庫)
- 頁数 :216P
こんな人におすすめ
- 独特な不穏な雰囲気を持つ小説を読みたい
- 純文学的でありながら楽しく読める小説を読みたい
- 芥川賞受賞の有名作品を読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。』
引用元:朝日新聞出版
感想
不穏な空気
一見平凡でありながら不穏さを漂わせる独特な物語です。
タイトルにもなっている「むらさきのスカートの女」を観察し続ける語り手の視点を通じて描かれるこの作品は、日常の中に潜む異質さや、孤独、そして人間関係の歪みを浮き彫りにしています。
語り手の視点
語り手は、むらさきのスカートの女に異様な執着を持ち、彼女の行動を詳細に記録しています。
その視点が本作の大きな特徴で、単なる観察者ではなく、だんだんと異常さが目に付きます。
この語り手の行動は読んでいて不安感を抱かせると同時に、人間の持つ好奇心や支配欲を鋭く描き出しているように感じます。
「普通」と「異質」
物語の中で描かれるむらさきのスカートの女は、周囲から孤立した存在でありながらも、どこか自由で自分の世界を持っているように見えます。
一方で、語り手自身もまた周囲との関係に苦しみ、孤独を抱えています。
この二人の存在は、現代社会における「普通」と「異質」の境界線を考えさせられます。
むらさきのスカートの女を特別視しながらも、語り手が彼女に近づくにつれて、両者の違いが曖昧になっていく点が印象的でした。
まとめ
この作品を通して、私は他者を理解することの難しさや、個人の視点が持つ偏りについて深く考えさせられました。
また、物語全体に漂う静かな狂気や不穏さは、何気ない日常の中にも潜む恐ろしさを思い起こさせます。
この本を読んだあと、私は「普通とは何か」という問いに直面したような気がします。
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。