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木曜日にはココアを/青山美智子 -感想- ほっとする温かい物語を味わおう

読書感想です。今回は青山美智子さんの「木曜日にはココアを」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:木曜日にはココアを
  • 作者 :青山美智子
  • 出版社:宝島社(宝島社文庫)
  • 頁数 :224P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 優しく心温まる物語が読みたい
  • 人や出来事の素敵な繋がりを感じたい
  • さらっと読みやすい作品が読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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5
読み応え
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過激表現
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あらすじ

『川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。そのカフェで出された一杯のココアから始まり、東京とシドニーをつないでいく12色のストーリー。卵焼き作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。小さな出来事がつながって、最後はひとりの命を救う――。あなたの心も救われるやさしい物語。』

引用元:宝島社

感想

カバーがとてもかわいらしいです。ミニチュア写真家の田中達也さんが手がけているとのこと。読み終えた後に見るとさらに愛おしく見えてきます。

短編12章で構成されています。短く区切りがあって読みやすいのが短編構成の良いところの一つですね。

各章の主人公が語り手になっています。通常の小説のように読者に向けた描かれ方の章もあれば、別の誰かに語りかけているような章、書簡体小説のような章、など様々なバリエーションで描かれていて退屈しません。文章もわかりやすい言葉で出来ていてとても読みやすいので、あっという間に読み進めてしまいました。

「マーブル・カフェ」という喫茶店のココアから始まる物語です。店員の片想いの行方が思いもよらぬ形で繋がっていきます。繋がりや縁みたいなものってどうして心を掴むんでしょう。この作品にはそのような人や出来事が様々な形で繋がる、心掴まれる展開に溢れています。

そのような物語の魅力に加え、各章にテーマの色が設定されているという構成もお洒落ですね。様々な形でその色が各章に描かれています。全て読み終えたあと改めて各章の色がなんだったか振り返ってみると、虹を見つけてなんだか良いことが起こる気がするような嬉しい気持ちになりました。

12章読み進める中で登場人物がどんどん増えていきますが、後の章で以前の登場人物が出てきたときにどこの誰だっけと混乱するときもありました。ただこれは私の記憶力が悪いだけです。すべてがきれいに繋がっていて、丁寧に読めばより一層感動できそうです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

印象的だったのはやはり1章と12章の「マーブル・カフェ」店員の彼と窓際、隅の席の彼女の話です。1章は彼の慎ましい片思いの様子というように見えるほんわかしたお話で、12章は彼女から彼へ向けたお手紙の形のお話。お互いが心の中で「ココアさん」と呼んでいるというココアで繋がる2人がとても微笑ましいです。2人は今後どうなっていくのかとても気になります。

1章から色んな人を繋がって繋がって12章で「マーブル・カフェ」のこの2人に戻ってくるという構成が素敵ですね。あの2人の思いもよらない部分でも2人は繋がりを持っている。知る由もない部分ではあるかもしれませんが、この素敵な物語のように自分の周りにも見えていない縁が巡っているのかもなと思うと少し楽しい気持ちになります

あとは5章(めぐりあい[Red/Sydney])のお話が好きでした。オーストラリアの動物園で出会ったおばあさんとおじいさんとのお話。「~このひとがわたしで、わたしがこの人になっていくんです」。色々なことを共にしてきた2人の関係が伝わってくるように思います。そこから導き出される「赤い糸とは」という解釈もとてもロマンチックでいい考え方だなと感銘を受けました。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/木曜日にはココアを

まとめ

以上、青山美智子さんの「木曜日にはココアを」の読書感想でした。
ほっとするような、ずっと浸っていたくなるような心温まる小説でした。大切な人と一緒にココアが飲みたくなりますね。未読の方は是非手に取ってみてください。

青山美智子さんの作品では「赤と青とエスキース」も大変おすすめです。
「木曜日にはココアを」を気に入った方は続編の「月曜日の抹茶カフェ」に加えて、「赤と青とエスキース」もよければ読んでみてください。感想記事もよければ読んでみてください。

赤と青とエスキース/青山美智子 -感想- 全ての想いが美しく繋がる、珠玉の感動作

最後までお読みいただき、ありがとうございました。