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また、同じ夢を見ていた/住野よる <あらすじ・感想・考察> 幸せとは何か。あの頃の自分へ問いかける。

読書感想です。今回は住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:また、同じ夢を見ていた
  • 作者 :住野よる
  • 出版社:双葉社(双葉文庫)
  • 頁数 :304P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • ほっこり、爽やか、感動できる小説を読みたい
  • ちょっぴりファンタジーで想像が膨らむ小説を読みたい
  • 幸せについて考えたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『友達のいない少女、リストカットを繰り返す女子高生、アバズレと罵られる女性、一人静かに余生をおくる老女。彼女たちの“幸せ”は、どこにあるのか。「やり直したい」ことがある、“今”がうまくいかない全ての人たちに贈る物語。

引用元:双葉社

感想

幸せとは何かを考える

主人公は小学生の女の子。彼女は非常に聡明で大人びた考え方を持ちながらも、どこか孤独感を抱えています。

国語の授業の課題として、自分にとっての「幸せとは何か」をクラスで発表することになります。

彼女が出会うさまざまな「変わった大人たち」との交流を通じて、少しずつ自分の心を見つめ、「幸せとは何か」を探します。

純粋な視点が心揺さぶる

主人公の少女には様々な「変わった大人たち」との交流があります。

その大人たちはそれぞれ大人の問題を抱えていますが、少女の視点に映るそれはどこか変わって見えます。

小学生の視点で描かれる世界はとてもシンプルで、純粋で、なぜだかハッとさせられるようなことがたくさんあります。

大人になるにつれて自分にとっての「幸せとは何か」は変わってしまうのでしょうか。

前向きになろうと思える

この本を読み終えたあと、私は自分にとっての幸せとは何かを改めて考えてみたくなりました。

日々の小さな出来事や周りの人たちとの関係を大切にしようと思える、そんな前向きな気持ちを与えてくれる作品です。

人生の意味や幸せについて考えるきっかけを与えてくれる一冊として、多くの人におすすめしたいです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

印象的だった場面

「~。そういえば、おばあちゃんは今、幸せ?

おばあちゃんはお茶を一口飲んでから、笑顔で答えました。

「ああ、幸せだった」

おばあちゃんは本当に幸せそうで、私まで幸せな気分になりました。

シンプルな返答なのにそれまでの時間が込められているような響きがあり、すごい一文だなと感じました。

そんな風に言えるような生き方をしたいですね。


「私も、本当は苦いコーヒーやお酒より、甘いお菓子が大好きだった。もう忘れない」

大人として共感できてぐっときたのはアバズレさんが奈ノ花に気付く場面です。

あの頃の自分を目の前にしたとき、私だったらどんな風に思うでしょうか。

あの頃の自分に誇れるような大人になれているでしょうか。

あの頃の自分は何に幸せを感じていたのでしょうか。

今はどうなのでしょうか。

今の自分をそんな風に見つめ直してみたくなります。


「僕の、幸せは」

「うん」

「僕の絵を好きだって行ってくれる友達が、隣の席に座っていることです」

この場面はいつも泣けます。単行本版を読んでいるので文庫版がどうなってるかわかりませんが、この3行目だけめくった次のページに書いてあるのがまたにくい演出です。

奈ノ花と桐生くんが愛おしくてたまらなくなります。

また、同じ夢を見ていた

南さん、アバズレさん、おばあちゃんは平行世界における奈ノ花の未来の姿ということかと思います。

最後の章の奈ノ花は彼らとはまた少し違う年代にいる、そこまで描かれた小学生時代の先にいる奈ノ花のように見えます。

南さんもアバズレさんもおばあちゃんも、そして最後の奈ノ花も「また、同じ夢を見ていた」と言っています。

それぞれの子どもの頃の夢を見ていたのだと思います。

とある分岐点のその先にはどんな未来があったのかと、自分に照らし合わせて想像してみたくなります。

ただファンタジーな世界というだけでなく、そのファンタジーさが物語のテーマに結び付く要素となっているのが美しく、とても心に響きます。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/また、同じ夢を見ていた

まとめ

以上、住野よるさんの「また、同じ夢を見ていた」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。