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桐島、部活やめるってよ/朝井リョウ <あらすじ・感想・考察> 生々しく思い起こさせる青春群像劇

あらすじ・読書感想・考察を記します。今回は朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」です。

記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:桐島、部活やめるってよ
  • 作者 :朝井リョウ
  • 出版社:集英社(集英社文庫)
  • 頁数 :256P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 青春群像劇が好き
  • 生々しい爽やかさを感じたい
  • 有名映画の原作を読みたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『映画化大ヒット小説! きっかけは、キャプテンの桐島が突然バレー部をやめたことだった。そこから波紋が広がっていく。地方の県立高校のバレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部、野球部――。それぞれの部活で、教室で、グラウンドで、5つの物語がリンクする。彼らがそれぞれ抱える問題は? 桐島はなぜ部活をやめたのか? 第22回小説すばる新人賞受賞作。

引用元:集英社

感想

青春群像劇

バレー部のキャプテン・桐島が突然部活を辞めたことをきっかけに、彼の存在が周囲の高校生たちにどのような影響を与えるかを描いた青春群像劇です。

物語は、桐島の退部という出来事が波紋のように広がり、高校生たちの日常や心情に変化をもたらしていく様子が描かれています。

リアルな心情に共感

この作品は高校生特有の繊細な人間関係や、スクールカーストといった社会的な構造も巧みに描かれています。

高校時代のとある時期をそのまま切り取ったようなリアルな物語は、自身の青春時代を思い起こさせ、共感できたり、恥ずかしいような気持ちにもなります。

構成の面白さ

この小説を通じて感じたのは、一人の行動が周囲に与える影響の大きさと、個々の内面の葛藤です。

桐島の退部という出来事は、直接的には些細なことのように思えますが、それぞれの登場人物が抱える悩みや葛藤を浮き彫りにし、彼らが自分自身と向き合うきっかけとなっています。

スラスラと読みやすい

文章はシンプルで、会話も多めだからテンポよく進み、とても読みやすい作品です。ボリューム的にもそれほど長くはありません。

ただ、視点が章ごとに変わる群像劇なので、登場人物同士の関係を把握しながら読む必要はあります。ただそれが面白さでもあります。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

桐島が登場しない

桐島がタイトルにもなってるのに本人は一切登場しませんでした。それなのに、彼の影響力の大きさがひしひしと伝わってくるのが面白いです。

普通なら「桐島がなぜ部活をやめたのか?」が物語の核心になりそうですが、実際はそこが重要ではなく、「桐島がいなくなったことで周囲の人たちがどう変わるのか?」がテーマになってるのが巧みだなと思いました。

それに、桐島の実像を知らないまま進むため、登場人物ごとの語り口によって「桐島ってこんな人なのかな?」と想像するしかありません。

結局、彼がどんな人間だったのかはっきりとは分からないまま終わりますが、それが逆にリアルで、物語全体に独特の余韻を残してるように感じます。

全体的に、桐島が部活をやめたらしい、というタイミングをただそのまま切り取ったような物語になっていました。

何か区切りがあるとか劇的な結末があるということもないところが、リアルな高校時代を感じさせる面白い構成でした。

気付いたら自身の高校時代を思い出していた

登場人物たちの言動や考え方がすごくリアルで、「ああ、こういうことあったな…」とか「こんなふうに思ってたかも」って、自分の過去と重ねてしまう部分があったように思います。

高校生特有の自意識とか、他人の目を気にしながらも自分なりの価値観を持とうとする感じとか、妙に生々しく描かれてるから、読んでてちょっと気恥ずかしくなります。

特に、スクールカーストの上下や、何をかっこいいと思うか、何を恥ずかしいと思うかみたいな感覚がすごくリアルなので、自分が通ってきた道を思い出してしまいます。

それだけリアルに描かれてると感じるのは、作者の観察力がすごいってことでもあると思いますし、物語に没入できる要素でもあるのかもしれません。

特に共感できたところ

映画部の前田涼也の章が共感出来て好みでした。

前田の視点は、スクールカーストの枠にとらわれず、自分の好きなこと(映画制作)に真っすぐ向き合ってる感じがすごく良かったです。

周りから「地味」とか「オタクっぽい」と思われても、自分の世界を大事にしているのがかっこよく見えますし、彼の映画作りに対する情熱が伝わってきました。

また、桐島の退部に対して、他の登場人物は動揺したり不安になったりしていたように見えますが、前田だけはそこまで関心がないというか、「自分のやりたいことをやるだけ」ってスタンスなのも面白かったです。

まわりの価値観に流されず、自分の道を進むっていうのが、この作品の中で一番前向きなメッセージだった気がします。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/桐島、部活やめるってよ

まとめ

以上、朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」の読書感想でした。

青春時代の葛藤や成長、そして人間関係の複雑さを鮮やかに描いた作品です。高校時代のとある時期をそのまま切り取ったようなリアルな物語に、気付けば自身の過去を思い出していました。また、一人の決断が周囲に与える影響や、自分自身と向き合うことの大切さを改めて考えさせられました。

未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。