読書感想です。今回は山口未桜さんの「禁忌の子」です。
第34回鮎川哲也賞受賞作です。鮎川哲也賞は、東京創元社が主催する公募の新人文学賞です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:禁忌の子
- 作者 :山口未桜
- 出版社:東京創元社
- 頁数 :318P
こんな人におすすめ
- ミステリー小説が好き
- 医療ドラマが好き
- 賞受賞など高評価を受けている話題作を読みたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。』
引用元:東京創元社
感想
医療×本格ミステリー
救急医が主人公であり、医療の世界を舞台にミステリーが展開されます。
医療という題材ならではの緊迫感のある場面が印象的です。その題材を活かした謎にも惹き付けられます。
惹かれる掴み
あらすじにもある通り、主人公と瓜二つの身元不明な遺体に出くわすという、一見ファンタジーにも見えるような物語の幕開けとなっています。
瓜二つの人間というと謎の答えとしてあまりパターンがないような気もして心配になるかもしれませんが、そんな心配をあっという間に払拭していくような展開が序盤から繰り広げられていきます。
テンポがよく、進むごとに面白くなる
遺体の身元の謎、関わりがあるであろう自身の生い立ちの謎、次々と起こる事件との関連性…次へ次へと物語が展開していくので退屈する暇がありません。
中弛みを感じるような個所が一切なかったのが印象的です。読み進めるにつれて着実に真相へ向かっているという実感がありとても読みやすいです。
右肩上がりに面白くなっていき、物語の山場には読んでいる私の緊張感や様々な感情もピークを迎えてとても興奮しました。
物語の展開と読んでいる側のテンション感がここまで一致する小説はあまりないなと感じました。タイトル回収の爽快感もあります。単なる謎解きに留まらない心を揺さぶられるような作品です。
新人文学賞作品ということですが、新人って何?というくらい粗さみたいなものは私は一切感じず完成された作品のように思いました。
以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。
感想(ネタバレ有り)
他の読者の感想
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※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、山口未桜さんの「禁忌の子」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。