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幻惑の死と使途/森博嗣 -感想- S&Mシリーズ第6弾。天才マジシャンは遺体になってなお驚異の脱出劇を演じる?

読書感想です。今回は森博嗣さんの「幻惑の死と使途」です。
S&Mシリーズ第6弾です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:幻惑の死と使途
  • 作者 :森博嗣
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :584P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • ミステリー小説が好き
  • S&Mシリーズが好き
  • 手品の種を考えることが好き
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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5
読み応え
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過激表現
1
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4
5

あらすじ

『天才マジシャン、死してなお奇跡を呼ぶ――
事件は、奇数章だけで描かれる。
「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻(ありさとしょうげん)が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か?幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

派手な展開
マジシャン、それも脱出劇という大掛かりなイリュージョンから想像できるように、物語の展開も派手でした。次々と起こる事件、一つ一つが手品のように不思議に見えます。

単純には理解できない結末
読後感は「すべてがFになる」を読んだときに近いような感覚でした。トリックにも驚きで劇的な結末を迎えます。また、そこに至るまでの思考が独特で人物間の関係性も特徴的。小説ならではの興味深い世界観が見られます。

奇数
章が奇数のみとなっています。次作が偶数になっていて同時系列のお話となっているそうです。面白い仕掛けですね。次作がどんな形で描かれるのかとても気になります。

萌絵の成長
萌絵の内面の変化が見られるのもこのシリーズの面白い点ですが、今作でもその様子が特徴的な形で描かれます。犀川先生とのやりとりも相変わらずではありますが、移りゆく関係性が見えてにやにやしてしまいます。

シリーズ屈指の高評価
他の読者の感想を見るとシリーズの中でも特に面白かったという方が多く見られます。画が映える展開、劇的な結末、確かに目立った作品かなと私も思います。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

「名前」がキー
登場人物の紹介ページがなかったのは初めに少し気になりましたが、あまり注目していませんでした。しかし、そこにも意味があったとは驚きでした。

『それ以前に、重要なことがあるんだ。それは、ものには名前がある、という概念なんだよ。すべてのものに名前がある、ということにさえ気づけば、あとは簡単なんだ。ものに名前があることを知っている、あるいは、ものに名前をつけて認識するのは、地球上では人類だけだ』

『本人の人格を汚すことは不可能だ。どんな法律も人格を裁くことはできない。名前を裁くんだよ』

そっくりさん
そっくりさん2人で有里匠幻であった、というのがイリュージョンのトリックであり、事件のトリックにもなっていたということですね。本当に見分けがつかないというのは非現実的な気もしますが、そのことを差し引いても良くできたトリックと動機でした。

萌絵の推理から犀川先生の視点の変化による驚き
萌絵の推理には疑問点が残りましたが、犀川先生による少しの視点の変化により全ての筋が通るというのはとても爽快でした。霊柩車の運転手が犯人とわかった時点では関係性として唐突感がありましたが、有里匠幻の本体であったとするなら、このイリュージョンを想定してそこまで用意をしていたのかと唐突感から一転してその強い執念を感じます。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/幻惑の死と使途

まとめ

以上、森博嗣さんの「幻惑の死と使途」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。