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アルジャーノンに花束を/ダニエル・キイス -感想- 不朽の名作。チャーリイはあなたにどう映る?

読書感想です。今回はダニエル・キイスさんの「アルジャーノンに花束を」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:アルジャーノンに花束を
  • 作者 :ダニエル・キイス
  • 出版社:ハヤカワ文庫NV
  • 頁数 :464P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 読書が好き
  • 独特な読書体験がしたい
  • 全世界が涙した不朽の名作小説を読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『世代を超えて読み継がれてきた感動作

32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリイの知能は向上していく…天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独を通して知る人の心の真実とは? 全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。』

引用元:ハヤカワオンライン

感想

不朽の名作
言わずもがなの超有名作品です。当然面白いです。読書好きさんなら特定のジャンルしか読まないとかよほどのこだわりがない限りは一度は読んでおいて良い作品かと思います。

至高の読書体験
あらすじにあるように、知能向上の機会を得たチャーリイの視点で描かれる物語です。その特殊な境遇であるチャーリイの描かれ方がまるで実在したかのようにリアリティがあり、彼が感じていることが自分にも迫ってくるようで様々な形で心が揺さぶられます。

そしてこの物語の構成。読み終えた後は胸をぐーっと締め付けられるような思いになります。

どうやって書いたのか
非現実的な存在であるチャーリイをどうやったらこのように書くことが出来るのかと感心してしまいます。あとがきなどにもありますが、ダニエル・キイスは「どうして、こんな傑作ができたのでしょうか?」と訊かれた時に以下の返答をしたとのこと。面白いですよね。

「どうして私にあんな作品が書けたのか、もしあなたにお分かりだったら教えては頂けませんか?私ももう一度、あんな作品を書いてみたいのです。」

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

知らない方が幸せなのか
チャーリイにとっては知能向上し多くを知ったことで得たものより失ったものの方が大きいように見えます。チャーリイの成果により研究が進み世の中に価値を残したかもしれませんが、チャーリイが得たものはなんだったのでしょうか?その知識や功績や名誉は、知ってしまったことにより失ったものに優るとは私は思えませんでした。

『ぼくの知能が低かったときは、友だちが大勢いた。いまは一人もいない』

知能が戻り、パン屋の連中が思い直して関わりを持ってくれても、多くを知ったチャーリイは純粋にそれを受け取ることができなくなりました。

自分と同類でないもの
他人を見て「あんなに気楽に生きていられたら…」なんて思うことありませんか?それが行き過ぎた例がパン屋の連中のチャーリイに対する扱いのように見えました。どこか相手を見下し、相手が同じ人間であるということの意識が薄れてしまっています。

相手の程度が上であれ下であれ、自分と差があるものに対してそのような傾向が起きてしまうもので、それを避ける術が私には思い浮かびません。一方が歩み寄ろうとしても、嫌みに受け取られたり、真に受けてもらえなかったり、どうしても歪な形になってしまう。それが人間なのかもしれないなと思いました。

チャーリイはそれらの相互の立場を経験することになりますが、相互の立場を知っていてなお、同類でないものに対してうまく立ち回ることの出来ない様子に人間味を感じました。

チャーリイに感じること
私が最後まで読んだ上でチャーリイに思うのは、少し軽率な言葉ですが「かわいそう」という同情の気持ちが大きかったです。

普通の人間の一生をごく短期間で経験したような見方もできるかもしれません。それほどの知能向上を経験したことは羨ましく思いますが、やはり上にも書いたように、得たものより失ったものの価値の方が大きく感じます。知らないままでいた方がトータルで見て幸せだったのでは?と。

ただそういう見方もチャーリイを同じ人間として扱っていないと思われるものかもしれないなとも思います。ではチャーリイとどう向き合えばよいのでしょうか。

様々な登場人物がチャーリイとの関わりに難しさを感じ試行錯誤をする様子が描かれていたと思いますが、最後にはチャーリイがウォレン養護学校へ行くと決断する結末から、周囲との差による生き辛さは避けられないという悲しい結末のように思いました。

純粋で優しいチャーリイが最後にはそんな結末を迎えるということで、私の読後感としては胸がぎゅーっと締め付けられるような複雑な思いでした。

現在の私がチャーリイへ思うことはこのようなことでしたが、私がもっと違うタイミングで読めば異なって見えるような気もしますし、人によって様々な受け取り方をされるんだろうなと感じます。あなたはチャーリイに何を思いましたか?

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/アルジャーノンに花束を

まとめ

以上、ダニエル・キイスさんの「アルジャーノンに花束を」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。