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魔剣天翔/森博嗣 <あらすじ・感想・考察>Vシリーズ第5弾。空中密室?脅迫状の謎を考察してみる

読書感想です。今回は森博嗣さんの「魔剣天翔」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:魔剣天翔
  • 作者 :森博嗣
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :448P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • Vシリーズ前作を読んだ
  • ミステリー小説が好き
  • 特殊な設定が気になる

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『完全な空中密室 衆人環視の不可能犯罪

アクロバット飛行中の2人乗り航空機。高空に浮かぶその完全密室で起こった殺人。エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣をめぐって、会場を訪れた保呂草(ほろくさ)と無料招待券につられた阿漕(あこぎ)荘の面々は不可思議な事件に巻き込まれてしまう。悲劇の宝剣と最高難度の密室トリックの謎を瀬在丸紅子が鮮やかに解き明かす!

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

Vシリーズ第5弾

Vシリーズの特徴であるスタイリッシュで知的なミステリーの魅力が存分に詰まった作品です。

シリーズものの続編ですので、前作を読んでいた方がキャラクターのことを知れているため楽しめるかと思いますが、物語としては単品でも成立している作品です。

空中密室

空中密室という独特なシチュエーションで展開されるミステリーです。

物語は、小鳥遊練無の先輩である関根杏奈の誘いで、阿漕荘の住人たちがエアロバティックスのイベントに参加するところから始まります。

同時に、保呂草潤平は各務亜樹良から「エンジェル・マヌーヴァ」と呼ばれる宝剣の捜索を依頼されます。

これら二つの出来事が交錯し、アクロバット飛行中の航空機内で殺人事件が発生します。

空中という完全な密室での殺人という難解な状況下で、瀬在丸紅子がその謎に挑みます。

また、密室トリックの解明だけでなく、多くの伏線が散りばめられており、飽きさせない構成になっています。

飛行機に興味が湧く

飛行機に関する詳細な描写や知識が随所に散りばめられています。

エアロバティックス(曲技飛行)の世界観がしっかり作り込まれていて、航空機やパイロットに興味が湧きます。

お馴染みのキャラクターの変化

保呂草の視点や行動がこれまで以上に掘り下げられており、彼のミステリアスな一面がより鮮明に描かれています。

さらに、新キャラクターである各務亜樹良の登場により、物語に新たな深みと広がりが加わっています。

また練無と紫子の関係性や心情の変化など、馴染みのキャラクターの関係性の変化も印象的でした。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

事件について

事件自体は解決編で理解しやすかったと思います。

ただ、こう言ったら野暮だとわかっていますが、けっこう無茶というかなぜこの条件、この方法を選んだのか、犯人の思考に納得感はありません。

もちろんミステリーにおける驚きのトリックとしてはこの特殊条件は好きです。

あと印象的だったのはヒューズがダイイングメッセージだったというところで、驚きはありましたがあまりにシンプルで若干拍子抜けしました。

あと撃たれた直後でそんな機転が利くかな?とは思ってしまいますね。

また、ここまでの作品もそうですが、動機が掴めないのはモヤっとしますね。他の作品ではあまり感じなかったのですが、今作は特にほぼ触れられずという感じでした。

脅迫状の目的と謎

ヨワキココロヨリ
スカイボルトヲイダク
ソノモノノチルハサイワイ
ヒトハチリテマケンハトム
アタラシキチヲハサキニソソギ
テンクウニミルユメハサラニトオキ

まず気になるのはこのメッセージに各務亜樹良が折り込まれている?というところですよね。

各行の最後の文字を取ってみると

リクイムギキ

これを後ろから読むと

キギムイクリ

この各文字を50音順の一つ前に置き換えると

カガミアキラ

というわけですね。シンプルですが気付くのは難しいです。

この脅迫状は各務亜樹良もしくは保呂草が用意したものと思われます。

脅迫状を出した理由は正直よくわかりませんでしたが、「エンジェル・マヌーヴァ」のありかを突き止めるにあたり、混乱を引き起こして関係者の反応を探るためかなと想像します。

つまり、誰かを脅して事件を起こそうとしたわけではなく、宝剣の手がかりを得るための手段として脅迫状を利用しました。

「脅迫状=殺人計画」と思いがちですが、実際には事件とは別の動機が絡んでいた、というのが面白いポイントなのかなと思います。

殺人事件と並行して、宝剣をめぐるもう一つのミステリーが進行していた、というわけです。

練無と紫子

2人の関係性の変化?も印象的でした。

練無は今回、重要人物との関係により、過去が垣間見えました。

切ない展開になってしまって、この出来事が今後の彼にどのように影響するのか気になります。

一方で紫子については、保呂草は知らない女性とどこかに消えてしまうし、練無も知らない状況と親密にしていて急にどこかに行ってしまうしで、物語としては意図的にも思いますが、あまりにも蚊帳の外にされて不憫でした。

ただそれにより紫子は周囲との関係性を改めて見つめ直していたように思います。

泣いている練無を紫子が抱きしめるシーンは印象的でした。

シリーズお馴染みのキャラクターたちの関係性がどのように変化していくのか、このシリーズを読む楽しみな要素の大きな一つになっています。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/魔剣天翔

まとめ

以上、森博嗣さんの「魔剣天翔」の読書感想でした。

特殊な条件が特徴的なミステリー作品です。また様々な伏線が読んでいて飽きさせない魅力的な要素となっています。Vシリーズのファンのみならず、ミステリーファンにもおすすめできる一冊です。

未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。