読書感想です。今回はトルーマン・カポーティさんの「ティファニーで朝食を」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。
作品情報
- 作品名:ティファニーで朝食を
- 作者 :トルーマン・カポーティ
- 出版社:新潮社(新潮文庫)
- 頁数 :282P
こんな人におすすめ
- 世界の名作小説を読みたい
- 自由に生きるということを考えてみたい
特徴グラフ
※私個人の見方・感想です。
あらすじ
『第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった……。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。』
引用元:新潮社
感想
映画を見るより先に小説を
村上春樹さんの解説で、この小説は映画で表されている人物像などによって想像力を狭めないで読んだ方がいい、と言ったことが書かれていました。見える人物像などが映画と小説ではやや異なるということのようです。
私はたまたま映画は見ておらず、小説で描かれていることのみで想像しながら読むことができたので、シンプルに堪能できたのかなと思います。
またカポーティの文体が魅力とのことも言われています。翻訳された小説を読むときにどうしても思うことですが、原文を自然と読める能力があればなあと悔しさがあります。
自由について
ニューヨークという都市の華やかさと孤独が絡み合う中で、自由奔放なヒロイン、ホリー・ゴライトリーの姿を描いた作品です。この物語を読んで、私は「自由」について深く考えさせられました。
ホリーは、自分の人生を思うがままに楽しむ自由人として描かれています。ブランド店ティファニーに象徴される「高級感」と「完璧さ」を追い求めながらも、彼女自身はそのような完成された世界に適応できない不完全な存在のように思えます。ホリーの軽快で自由な言動は魅力的であり、彼女の生き方に憧れる部分もありますが、その裏に潜む孤独や不安定さを感じ取ると、ただの自由さでは幸福をつかむことはできないのだと気付かされます。
次の台詞は些細な場面でしたがとても心に残りました。
ティファニーで
特に印象的だったのは、ホリーが語る「ティファニー」という場所の特別さです。彼女にとってティファニーは、世界の混乱や不安から一時的に逃れることのできる「心の安らぎ」を象徴しています。しかし、それでも彼女はその場にいつまでも留まることはできません。自分の「理想の場所」を夢見ることと、その場所が実現可能かどうかは別問題です。
自分の居場所
この物語を通して感じたのは、自由や孤独を抱えたまま生きることの難しさです。ホリーのように輝きを放ちながらも、彼女が求めていたものは単なる自由ではなく、自分を理解し受け入れてくれる「居場所」だったように思います。自分の理想と現実の間で揺れながら、その中で人とつながりを築くことの大切さを改めて考えさせられます。
まとめ
美しくも切ない物語です。華やかなニューヨークの描写やユーモアのある会話に楽しさを覚える一方で、ホリーの生き方を見て、自分が本当に求めているものは何か、「自分にとってのティファニー」とは何かを考えてみたくなりました。
他の読者の感想
こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。
まとめ
以上、トルーマン・カポーティさんの「ティファニーで朝食を」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。