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ぼくのメジャースプーン/辻村深月 -感想- この犯人へする相応しい復讐方法は何だと思いますか?

読書感想です。今回は辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:ぼくのメジャースプーン
  • 作者 :辻村深月
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :520P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 青春、愛を感じられる物語を読みたい
  • 人の成長の物語を読みたい
  • 辻村ワールドを楽しみたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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読み応え
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過激表現
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あらすじ

『ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

子どもを通して見る倫理観
この物語は、主人公「ぼく」が小学四年生の時、友達の少女・ふみちゃんが悲惨な事件に巻き込まれたことをきっかけに展開します。物語を通じて、復讐や許し、正義といったテーマが深く問いかけられます。主人公が抱える心の葛藤や成長が巧みに描かれています。

特別な能力
「ぼく」は特別な能力を持っています。それが簡単なようで奥が深い能力で、どのように活用するのか読んでいる自分も想像が膨らみます。犯人に対して復讐を行おうとしますが、その過程で自らの心情や倫理観に苦しむようになります。この一連の過程は道徳的な葛藤について考えさせられます。

復讐と成長
物語の核となるのは、ふみちゃんを傷つけた犯人への復讐をどう捉えるかという点です。「ぼく」が最終的に自分の選択について考え、自分自身の力で答えを見つけるという成長のプロセスには深い共感を呼び起こされます。

また、ふみちゃんとの関係や、「先生」という謎めいた人物の存在が物語に奥行きを与えているように思います。友情や信頼、そして人間関係の複雑さが、物語を一層深みのあるものにしていると感じました。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

計る
相手がやったこととそれに対する復讐。それでは優しすぎる、厳しすぎるという先生とのやり取りは印象的でした。私は初めはふみちゃんに感情移入するあまり、犯人への復讐は厳しければ厳しいほどいいと思ってしまいましたが、先生とぼくのやり取りを追うごとに、適切に物事を計ることが出来ていない自身の浅はかさに気付きました。

諮る
先生から能力について学び、選択について先生に諮ります。能力について学ぶ部分は、物語の流れというより単純にその設定が興味深くてワクワクしました。自分だったらどう利用するだろうかと想像が膨らみます。同じシチュエーションだったらどう選択するだろうと、「ぼく」と一緒に考えているような感覚になり、物語の流れに加えてそういう視点で結末が気になるような面白い設定でした。

謀る
先生に話した内容と異なる方法、自分の意志のみで復讐の方法を選択したというのは驚きとともに胸が熱くなりました。年齢の割に冷静できちんと物事を考えるという印象の「ぼく」が、命を懸けてまであの選択をした。そこに込められた強い想いを感じます。以下の台詞が印象的です。”愛”という言葉がここまでしっくりくる物語はなかなか無いなと私は思いました。

馬鹿ですね。責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/ぼくのメジャースプーン

まとめ

以上、辻村深月さんの「ぼくのメジャースプーン」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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