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今月読んだ本をまとめてご紹介【2025年2月】

今月読んだ本をまとめてご紹介します。

シリーズ物は基本的に除きます。(1作目だけは紹介します。)

おすすめ度のランク付けもしてみます(個人的な好みという意味合いが大きく、出来を評価するものではありません、というか私にはそんなことできません)。

選書のご参考になればうれしいです。

それではどうぞ。

1.蝶/皆川博子 [3.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて……戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。


 
こよい
単行本、文庫本は絶版らしいです。戦時下の人間模様を通じて、人間の本質や社会の闇を浮き彫りにするその洞察と文章は、強く印象に残りました。

感想記事:蝶/皆川博子 <あらすじ・感想・考察> 幻想的で残酷な現実を描く短編集

2.永遠の0/百田尚樹 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。

引用元:講談社BOOK倶楽部


 
こよい
戦争の現実を知る。「生きること」と「死ぬこと」の意味を深く考える。この作品はエンターテインメント性が高い一方で、深いテーマを扱っているので、多くの人が得るものがあると感じられると思います。

感想記事:永遠の0/百田尚樹 <あらすじ・感想・考察>命の価値、戦場の選択

3.ネバーランド/恩田陸 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『伝統ある男子校で寮生活をおくる少年たち。年末、4人の少年が居残りすることに。人けのない寮で起こる事件を通して明らかになる「秘密」とは。奇蹟の一週間を描く青春ミステリー。

引用元:集英社


 
こよい
年末年始を寮で過ごす4人の少年たちが、互いの秘密と向き合いながら成長していく青春小説。重いテーマを扱いながら不思議な爽やかさ。彼らが時折見せる無邪気さが、逆に儚く切なく映るのが印象的でした。。

感想記事:ネバーランド/恩田陸 <あらすじ・感想・考察>青春の光と影。閉ざされた楽園の秘密。

4.コンビニ人間/村田沙耶香 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

累計170万部突破&40カ国語に翻訳(2024年5月現在)。
米国〈ニューヨーカー〉誌のベストブック2018に選ばれるなど、
世界各国で読まれている話題作。

引用元:文藝春秋


 
こよい
芥川賞受賞作。「普通」であることの意味や、個人の生き方を考えさせられる作品です。生き方に悩む人や、社会の価値観に違和感を覚える人にとって、共感したり、新しい視点を得たりするきっかけになるかもしれません。

感想記事:コンビニ人間/村田沙耶香 <あらすじ・感想・考察> コンビニに生きる彼女は本当に「普通」ではないのか。

5.わたしを離さないで/カズオ・イシグロ [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。

引用元:早川書房


 
こよい
派手な展開や刺激的なストーリーではなく、静かで淡々とした語り口が特徴です。物語を通じて、「人間とは何か」「生きる意味とは何か」といった根源的な問いを考えさせられます。哲学的なテーマや感情をじっくり味わいたい人におすすめです。。

感想記事:わたしを離さないで/カズオ・イシグロ <あらすじ・感想・考察>運命を受け入れる彼らを考察してみる

6.手紙/東野圭吾 [4.0]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『罪を償うとは、絆とは…。強盗殺人犯の兄を持った少年の姿を通し、犯罪加害者の家族を真正面から描いて感動の渦を巻き起こした問題作

引用元:文藝春秋


 
こよい
罪を犯すこと、その影響について深く考えさせられる作品です。犯罪者の家族はどう生きていくべきか? 社会は彼らをどう受け入れるべきか? そうした重いテーマに向き合いたい人におすすめです。。

感想記事:手紙/東野圭吾 <あらすじ・感想・考察> 背負わされた運命。手紙が繋ぐもの、断ち切るもの。

7.白ゆき姫殺人事件/湊かなえ [3.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人々への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方。匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。

引用元:集英社


 
こよい
間の内面や社会の闇を描いた一冊で、読後には情報との向き合い方や人間関係の在り方について深く考えさせられました。現代社会の問題を反映したミステリーとして、多くの人に読んでいただきたい作品です。

感想記事:白ゆき姫殺人事件/湊かなえ <あらすじ・感想・考察> 情報に惑わされるようなリアルな体感

8.木洩れ日に泳ぐ魚/恩田陸 [3.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『恩田陸にしか書けない、緊迫の舞台型ミステリー
アパートの一室で語り合う一組の男女。過去を懐かしむ2人の会話に、意外な真実が混じり始める。心理戦の果てに現れたものとは

引用元:文藝春秋


 
こよい
物語の時間軸はほぼ一晩だけ。しかしその短い時間の中で、二人の過去、感情、秘密が次々と明かされていくため、読み応えは十分です。人間関係の微妙な機微や心理描写、そして緻密な構成に感嘆させられました。

感想記事:木洩れ日に泳ぐ魚/恩田陸 <あらすじ・感想・考察> 別れを決意した男女の最後の夜

9.リプレイ/ケン・グリムウッド [4.5]

(個人的)おすすめ度:


あらすじ

『ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしているジェフは、43歳の秋に死亡した。気がつくと学生寮にいて、どうやら18歳に逆戻りしたらしい。記憶と知識は元のまま、身体は25年前のもの。株も競馬も思いのまま、彼は大金持に。が、再び同日同時刻に死亡。気がつくと、また――。人生をもう一度やり直せたら、という窮極の夢を実現した男の、意外な、意外な人生。

引用元:新潮社


 
こよい
時間のループという非現実的な設定を通して、むしろ現実の人生の儚さと尊さを際立たせています。読み終えた後、自分の人生について深く考えるきっかけを与えてくれる、心に残る一冊でした。

感想記事:リプレイ/ケン・グリムウッド <あらすじ・感想・考察> 何度も人生を”やり直させられる”としたら