当サイトの本に関する記事はすべてネタバレに配慮しています。御気軽にお読みください。

1984/ジョージ・オーウェル -感想- 現代だからこそ、このディストピアを体感せよ。

読書感想です。今回はジョージ・オーウェルさん「1984」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:1984
  • 作者 :ジョージ・オーウェル
  • 出版社:KADOKAWA(角川文庫)
  • 頁数 :496P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 古典SFの名作を読みたい
  • 作りこまれた重厚な世界観を体感したい
  • ディストピア小説を読みたい

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
1
2
3
4
5
読み応え
1
2
3
4
5
過激表現
1
2
3
4
5

あらすじ

『1984年、世界は〈オセアニア〉〈ユーラシア〉〈イースタシア〉という3つの国に分割統治されていた。オセアニアは、ビッグ・ブラザー率いる一党独裁制。市中に「ビッグ・ブラザーは見ている」と書かれたポスターが張られ、国民はテレスクリーンと呼ばれる装置で24時間監視されていた。党員のウィンストン・スミスは、この絶対的統治に疑念を抱き、体制の転覆をもくろむ〈ブラザー連合〉に興味を持ちはじめていた。一方、美しい党員ジュリアと親密になり、隠れ家でひそかに逢瀬を重ねるようになる。つかの間、自由と生きる喜びを噛みしめるふたり。しかし、そこには、冷酷で絶望的な罠がしかけられていたのだったーー。』引用元:KADOKAWA

感想

いわゆるディストピア1小説です。

全体主義の成れの果てにはこういう世界があるかもね、というSF作品です。この作品が発表されたのはなんと1949年。その頃に1984年のことを思い描いて作られたという事になります。その未来予測力が驚きで、現代でも読み継がれている名作たる理由の一つになっています。

出てくるシステムなどが、現代にあっても違和感ないというか実際これに近い世界になっているんじゃないかと思わされるほどで、それに対する恐怖心が身近に感じられました。

私は読むのにかなり苦戦しました。独特な用語や思想の話が多く、物語が展開するまでになかなか焦らされます。特に序盤は話がなかなか進みません。ただ物語が展開し始めると勢いが出てきます。物語を楽しむというより、作り込まれた社会の構造や思想を読み解き思惟することが求められる作品なのかもしれません。

よって物語としてはわくわくする場面も若干ありながら、基本は生々しい表現と共にディストピアを体感し続けることになります。反全体主義をテーマとしているということで、全体主義への皮肉の形ですね。

読む方を選ぶ作品ではあると思います。ただ、この作品の思想や芸術性はむしろ現代だからこそ読んで体感すべきものなのかもしれません。

 
こよい
正直…私はキャパシティオーバーで内容を読み切れていない自覚があります…

以下、内容に触れながら感想を書きますので、開く際はその事にご了承ください。

ここで一呼吸…
kindle unlimitedで読書生活をより楽しみませんか?対象の小説や漫画など、
200万冊以上が読み放題。
登録はこちらから↓
使用感など書いた記事もありますので読んでみてください↓↓↓
kindle unlimitedを使った感想を率直に。おすすめできる?【レビュー・評価】

感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

ニュースピークとか二重思考とかなんとかとか、よく思い付くなと感心しました。しかもただ単語がパラパラ置かれているだけではなく、よく作り込まれ複雑に絡み合っているように見えます。実際の世の中にもあるものなのか?と感じるほどでした。もしかしたら我々も既に奪われた思考があるのかもしれませんね…?

物語としてはバッドエンドで、全体主義への皮肉と受け取りましたが、救いがなさすぎて読むのが辛かったです。そういう結末に向かうしかないとわかっていながらも、何か救いがないかと期待してしまい、結局思った通りの結末になった、と。

ただ、下手に救いがあるのではなく徹底された方向性であったのは清々しいですね。このまま上手く行くわけないよなと思ったことが本当に上手く行かないので、この物語の現実っぽさが保たれていてリアルな恐怖心が感じられるのかなと思います。

ウィンストンが終始短絡的なんですよね。ずっと自分の直感が正しいとの思い込みに支配されて、ジュリアまで巻き込んで…ジュリアのことだって自分に好意を持ってると思ったとたんに手の平返して…捕まるのもそりゃそうだろうなという同情しきれない思いになりました。

田内志文さんの訳者あとがきがとてもわかりやすく作品を補足してくれていました。これがなかったら、余計わけわからないままただ暗い印象だけ残ったような気がします。また、古い作品ながら比較的読みやすかったのは訳者さんの力かなと思います。ということで、角川文庫の田内志文さん=訳のものはおすすめです。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/1984

まとめ

以上、ジョージ・オーウェルさん「1984」の読書感想でした。
作りこまれた重厚な世界観とそのリアリティに圧倒されました。こんな世界は怖すぎる…

未読の方は是非手に取ってみてください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。