当サイトの本に関する記事はすべてネタバレに配慮しています。御気軽にお読みください。

ある閉ざされた雪の山荘で/東野圭吾 -感想- 芝居か現実か。複雑な心理と驚愕のトリック。

読書感想です。今回は東野圭吾さんの「ある閉ざされた雪の山荘で」です。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:ある閉ざされた雪の山荘で
  • 作者 :東野圭吾
  • 出版社:講談社(講談社文庫)
  • 頁数 :306P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • ミステリーが好き
  • クローズドサークル系のミステリーを読みたい
  • さらっと読めて充実感の大きい小説が読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
1
2
3
4
5
読み応え
1
2
3
4
5
過激表現
1
2
3
4
5

あらすじ

『1度限りの大トリック!劇中の殺人は真実か?俳優志願の男女7人、殺人劇の恐怖の結末。
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか? 驚愕の終幕が読者を待っている!』

引用元:講談社BOOK倶楽部

感想

クローズドサークル
クローズドサークルな舞台で繰り広げられるミステリーです。この作品ならではの特徴を持った設定となっており、個性的な作品となっています。クローズドサークル系としてオススメできる作品の一つであることに間違いありません。

読みやすい、しかし一筋縄ではいかない
ページ数はそれほど多くなく、また文章の読みやすさからさらっと読める小説です。次々と物語が展開されていくので止め時が見つからずに一気に読んでしまいたくなります。特徴的な設定から生まれる複雑な心理が面白く、それも含めた緻密な構成で充実感が大きいです。読みやすく理解しやすい、複雑で奥深いということが両立した絶妙なバランスです。

映画化
今作は2024年1月に映画化され最近の作品なのかと勘違いしてしまいそうですが、1992年に単行本が発売されており、30年以上前の作品です。何故30年越しにまた注目されることになったのか気になりますし、この作品がこれまでまだ映像化されていなかったというのも驚きです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
kindle unlimitedで読書生活をより楽しみませんか?対象の小説や漫画など、
200万冊以上が読み放題。
登録はこちらから↓
使用感など書いた記事もありますので読んでみてください↓↓↓
kindle unlimitedを使った感想を率直に。おすすめできる?【レビュー・評価】

感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

劇中という設定
理解しやすい設定で、そこに生まれる複雑な心理も想像しやすいです。二重、三重の仕掛けがありながら、すっと理解できるような絶妙な設定だと思いました。

人が次々と消えていく中、徐々に作り物か現実かの境目がわからなくなっていく様子には読んでいる私も同じように疑心暗鬼になりました。リアリティは置いておいて、そのように自分も参加しているような感覚になれるエンタメ作品という感じでとても楽しめました。

叙述トリック
その設定に加えて叙述トリックが仕掛けられていました。久我の手記と神視点が交互に描かれていましたが、これは誰視点なんだ?と違和感を感じることはありました。ただ明確な違和感ではないので気にせず読み進められる程度です。それが仕掛けだったと知ると、確かにちょっと違和感あったよなと感じさせる巧妙な文章だったんだと感心しました。

物語として
この作品はリアリティを感じながらというより、設定や背景を受け入れてその中で楽しむという読み方が適しているのかなと思います。都合のいい建物、オーディション結果の価値、自殺手段など、物語向けに都合が良かったり、本当にそう?と少し感じる部分もありますが、作中でそういった設定の説明はされており、まるきりおかしいとは感じませんでした。そういう設定を置くことも含めて緻密に構成された物語となっており、すごい発想だなと私は思いました。

結局誰も死んでいなかった、というオチには様々感想がありそうですが、私としてはホッとできてよかったです。やはり私は物語に参加しているような感覚が強かったのかもしれません。また本多が殺人犯であってほしくないという思い入れもあったように思います。その辺も構成の妙かなと感じています。

おまけ
映画は見ていませんが、キャストだけ見るとちょっとイメージとは異なりました。男女ともに綺麗すぎますね。まぁ映像化する上では多少華やかであった方が良いのでしょう。

3行でネタバレ(開く際は要注意!!!)

続きを読む ※ネタバレ注意
笠原、元村、雨宮が順番に消える。探偵役の久我、協力者の本多を中心に調査。劇中か現実か混同する。
本多が犯人で、劇中ではなく現実に起きていることと判明。3人に恨みがある劇仲間による計画で、本多が実行犯。
元々は殺害する計画だったが、本多が計画を変更。3人は別の場所に移動しただけだった。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/ある閉ざされた雪の山荘で

まとめ

以上、東野圭吾さんの「ある閉ざされた雪の山荘で」の読書感想でした。
未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。