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赤と青とエスキース/青山美智子 -感想- 全ての想いが美しく繋がる、珠玉の感動作

読書感想です。今回は青山美智子さんの「赤と青とエスキース」です。
ものすごく感動しました。私が読んできた本のうち特に心に残ったものとして挙げる作品に仲間入りします。
記事前半はネタバレは含みません。「続きを読む」を押さない限りネタバレ内容は見えませんので未読の方も安心してお読みください。

作品情報

  • 作品名:赤と青とエスキース
  • 作者 :青山美智子
  • 出版社:PHP研究所
  • 頁数 :248P

こんな人におすすめ

 
こよい
  • 感動できる物語が読みたい
  • 点と点が線で繋がるような物語が読みたい
  • 悪い人が出てこない物語が読みたい
 

特徴グラフ

※私個人の見方・感想です。

話の明るさ
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5
読み応え
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過激表現
1
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4
5

あらすじ

『1枚の「絵画(エスキース)」をめぐる、5つの「愛」の物語。彼らの想いが繋がる時、奇跡のような真実が現れる――。著者新境地の傑作連作短編集。2022年本屋大賞第2位作品。』

引用元:PHP研究所

感想

連作短編集ということで短めのお話それぞれ繋がりを持って描かれています。

個々のお話はそれぞれ画家や漫画家など絵にまつわる登場人物とその物語となっています。悪い人が一切出てこず穏やかな気持ちで読めます。芸術に向き合う繊細な心情、仕事は違えどどこか自分にも当てはまるような部分もありました。登場人物たちが持つ様々な形の愛が伝わってきます。

何と言ってもこの作品の魅力は全体の構成です。それぞれの短編から伝わってきた愛や想いが、縁により巡り巡って終盤に全て収束していきます。謎が解けるというのとはちょっと違いますが、パズルのピースがいつの間にか組み合わさって一枚の絵になっていたような感覚になります。そしてただ繋がったことのすっきりだけではなくその繋がりの美しさに心奪われます。読後感は至高の清々しさです。

以下、内容に触れた感想を記載しますので、開く際はその点ご了承ください。

ここで一呼吸…
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感想(ネタバレ有り)

続きを読む ※ネタバレ注意

額縁のお話は印象的でした。美術館や展示会などに行っても正直額縁に注目したことはなかったのですが、こだわって作られた額縁だったのかもしれないと思うと申し訳ない気持ちになりました。額縁も含めた一つとして見る視点も持とうと思います。

漫画家さんたちの話も良かったです。作者ではなく作品が評価されることが大切という考え方は素敵です。ただ人間味を感じるのは作者として注目されたいというタカシマの方ですよね。ただどちらも大きくは違わず多くの人に作品を見てもらいたい、見てもらうことにより作品が出来上がっていくのだという思いということでしょうか。

これらのような登場人物の作品への思いを知ることで、ブーが画商として作品に価値を付けることへ感じる違和感も理解できました。

最初の話で作られたエスキース、それが以降の話の中でも出てきてその周囲で起きる出来事であるという繋がりを持って進んでいくものとして読んでいました。赤と青がどの短編にもモチーフとして出てくるのもとてもお洒落で面白い作りですよね。
金魚カワセミ
東京タワーアーツ・センター
トマトジュースバタフライピー
赤鬼青鬼
しかし、さらに隠されている部分があることに私はエピローグまで気付きませんでした。

エピローグで明かされていく真実を読み進めるにつれて感動が胸の奥から込み上げてきました。エスキースの意味、レイとブーとは、彼らのその後は。全てがはっきり見えてくる清々しさと美しさ。ここまでの短編から感じた人への愛、作品への愛、それらの全てが混ざり合い一つとなって伝わってきます。あまりの感動にしばらく余韻でふわふわした状態になりました。

この小説はレイブーの物語だったということですね。読んだ後にはこの本のタイトルがより深みを増して見えます。

他の読者の感想

こちらをご覧ください。
※ネタバレ感想も含まれますので見る際はご注意ください。

読書メーター/赤と青とエスキース

まとめ

以上、青山美智子さんの「赤と青とエスキース」の読書感想でした。
この感動を言葉で表現しきれないのがもどかしいです。未読の方は是非手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。